本日のメインディッシュ

韓流ブームに乗る人の声より、韓流ブーム批判の声の方が大きく感じる件について。
映画を借りに隣町のTYUTAYAに出かけました。そこには、あるわあるわの韓国ドラマビデオ。おお、韓流ブームの波がこんなところにも、とようやく韓流ブームを実感したchikiでした。



3ヶ月前にここに来たときには音楽ビデオがずらりと並んでいた棚なんですが、今は4つの棚が韓国ドラマ専用に。つまりは流行が変わるたびに置き換えられるってことですね。数年前はホラー映画がずらりと並んでいたし。そんなこんなで突如誕生した韓国ドラマ特集コーナーは結構人気らしく、多くのビデオがレンタル中。ドラマだから、シリーズでごっそり借りていくのでしょう。ほら、今も熱心な人だかりが。といっても5〜6人なんですが、でもビデオの特定のコーナーに5〜6人いるのって、新作コーナーかあるいは、狭い一角に押し込められ、なおかつ暖簾をくぐらないと入ることの出来ないアダルトコーナーくらいなものではないでしょーか。新宿や渋谷のTYUTAYAならともかく、chikiの住んでいるような田舎町の「つたや」では珍しいのである。



実はchiki、「韓流ドラマ」と呼ばれているものをひとつもみたことないんですよ。でも、テレビで「今、ヨン様がすごい」というような番組は何度も見かけるし、本屋に行くと韓国のイケメンが写った雑誌を何冊もみる。chikiもついつい手にとって「ほほぅ、これはイケた面のメンですなぁ」なんてつぶやいてみたりして。chikiの師匠である石原千秋先生も一時期、「白い巨塔」と「冬のソナタ」にはまっていて、呑み会にいくと唐沢寿明扮する財前五郎と、ぺ・ヨンジュン扮するカン・ジュンサン(カン・サンジュンじゃないよ)の物まねを披露してくれたものでした。「無念だ!」とか、斜め上をみつめて笑顔で静止、とか。そのたびゼミ生大爆笑。先生、ここ数ヶ月お会いしておりませんが、お元気でしょうか。またものまね見せてください。



ところで、テレビや雑誌を見ていると、なんとなく「いい年したオバハンがクダラナイモンにはまって困る」というような語り口を目にします。その語りはさまざまで、「ヨン様なんて韓国では2流タレントなのに、日本人はまんまと騙されてると笑いものにされているよ」とか「キャーキャー言ってないで、年相応の振る舞いをしたほうがいいんでない?」とかなんとか。つまりはいつもの大衆文化批判とか流行批判の類でして、「ブームに踊らされてる人ってバカだよね」というような感じですな。まぁ、おこちゃまでも言える批判です。



たまごっちやAIBOが動物への愛情を抱かせないから動物虐待につながるとか(そうだったのか!)、若者を「ケータイを持ったサル」と呼んでみたり(chikiのことですな)、カタログ雑誌を読んではショッピングに通う女性をアンノン系と呼んで見たり(もう呼ばないか)、思い出せばきりがないくらい。いつだって「ブームに乗る人」は「あいつらアホ」と言われ続けているのでした。ターゲットは女性と若者。女子供は未熟って言いたいとですね。ちなみに、この手の批判で、たまに「伝統が崩れるから○○ブームはけしからーん」とかってのがあるけど、結構適当なんですよねー、これ。明治時代だって流行の女学生言葉が批判されたりしたんですが、今、当時の女学生言葉をしゃべると逆に「若いのに、きれいな日本語を使ってえらいねぇ」なんて言われるかも。うんうん、よくってよ。かまわなくってよ。批判はお好きになさって。でも、「もっと頭よく振舞おうよ、韓国文化なんてつまんないよ」とかなんとか、インテリぶった人が斜に構えた態度で(つまりはへそ曲がりってことだ)「ああいうのを見ているとキモチワルイ」とか言ったりするのも、十分きもくってよ。



中には、ヨン様目当てにホテルに詰め掛けたという人は実は「動員」されたんじゃないの、朝鮮系の人は一声かければ何千人も来るんでしょ、なんていう人もいる(冗談じゃなくているんだってば)。うん、なるほど、ブームには大抵仕掛け人や火付け役がいますが、なぜ相手が韓国だとそんなに目くじらたてるんでしょーか。関係ないけど、そういえば電通もよく槍玉にあがる。「実は電通のしわざ」って語り方、ユダヤ陰謀説並に好かれてますよね。「電通陰謀説」と名づけようかな。電通の中の人も大変なんですがね。そういえば、ベッカム様は誰のしわざなんでしょうか。誰か教えてください。



これは韓流ブームに限らずK-POPなんかもそうですが、「韓国って一昔前の日本みたい」という言い方もよく目にしますね。確かに「白い巨塔」のブームと重なったりして、日本ではある種のレトロスペクティブ、つまり「なんか懐かしいよねー」という形で受け入れられているような気もしますが、あくまで韓国は日本に比べれば「遅れて」いて、あくまでレトロブームなのだと思い込みたいという気分がどっかにありますよね。例えば「韓国+パクリ」で検索すると、韓国が日本からパクったと思しきモノの写真がずらずら出てきて「こんなにあるのか」と爆笑しますが、それだけ大量に「韓国は日本からぱくったんだ」という趣旨のサイトが出てくることにも大笑い。その手のまとめサイトを作るのって、結構大変なんですよ。すごい熱意で、その熱意にはリスペクト。反韓熱で発電が出来そう。



一方で、ワールドカップ共催に続いて韓流ブームだ、これから文化交流だ! とかいう語りもありますが(そういうことを書いていた新聞があった)、ブームが到来したからといって即座に互いの文化の交流が深まるわけでないでしょ。ハリウッド映画はずっと流行してますが、アメリカとの間で文化交流が「深まって」いますかね。え? 日本のアメリカ化は進んでる? そういえばそうかもしれない。となると、日本が韓国化するのが嫌だったのかな、って関係ないかな?



でも、chikiもたまに「ブームに乗ってるやつはアホだ!」って態度とるなぁ。だって、流行に乗っている人って楽しそうじゃありませんか。楽しそうにしている人みると「ちぇ」って思うじゃないですか。話についていけなくて、疎外感を抱くじゃないですか。ちきしょう、流行から「遅れてる」なんて言われたくないぞ、むしろあいつらがアホなんじゃい、批判してやれ、なんとなく、みたいな。でも、わざわざ露骨に「ちぇ」ってやると嫌がられますから、十分に気をつけましょう。じゃないと、おたがい「ちぇ」って言い合うだけで終わっちゃうもの。