報道番組の機能について？

今日のニュース２３で、「テレビのニュースの伝え方」という特集番組を放送するということで、先日収録を行い、森達也さんらとディスカッションしてきました。というわけで移動中に書いてみたアウトラインを公開してみる。

• テーマ：報道番組の機能について
  • 議題１：現状分析について
    • 報道対象のカスケード現象が生じがちなニュース番組（記者クラブなどによる情報共有体制のルーティン化、など）
    • 報道対象のカスケードは、集合的な立ち位置のカスケードも生じさせる可能性も（例：ある会見の場面を繰り返し報道することで、特定の政治家の支持率が下がるようになったり、特定の意見表明を前景化させる、など）
    • しかしそれは単に報道側の問題ではなく、視聴者側にも「同じシーンを見たい」という欲望はある→議論をすることよりも「シーン」をコンサマトリーに消費しネタとして共有することが重要視されがち（例：スポーツのゴールシーンや政治家の会見など、同じシーンをフリッピングして探し何度も見る、など。そうした「それぞれの＜見たい物を見たい＞欲望」と「公共的な報道」は共存するのか）
    • そうした循環は必ずしも「豊かな報道」とは思えないので、改善していけるといいね、みたいな（しかし報道ったって現場の人間にとってはルーティーンワークなんだから、今さらできんのかなと。あと、本当にそういう「報道」は求められているのかな、とも）
  • 議題２：現状評価について
    • 「ニュース番組」と「情報エンターテイメント」（情報番組）との区別が困難（一方で、番組タイプによってターゲットが分かれる状態も。ユーザーニーズを考えても、「あるべき報道」は想定できるが、決して実現はできなさそうな現状）
    • 「ワイドショー→情報番組」の流れで、群像劇の文法で犯罪や政治を取り上げてしまう手法が定着（報道のエンタメ化）
    • ただ、そうした「区別」を視聴者には求めるのは難しい（制作部が違うらしいのだけれど、どっちも議題設定能力持ってるんだから、知ったことかっていう）
  • 議題３：具体的に気になる点
    • 論点１：テレビには引用文化がなく、相互検証や批判作業がなされにくい（そうした作業は、今のところ雑誌文化やネット文化に委ねられている）
      • 「第四の権力」という表現が通俗的に使われたりしているが、メディアが「社会問題」を構築する大きな役割を担っているのは確かなので、「権力へのコントロール」は適切に働かせる必要（テレポリティクスの自覚はなさそうだけど。捏造やら誇張やらは言うに及ばず）
    • 論点２：バラエティ番組だけでなく、報道番組もアテンション重視型になっている（字幕スーパー、ワイプ、BGM、内容予告など）
      • 「情報番組」では、巨大ボードやディスプレイを囲いつつ、「感想」を述べていく形式増えたよね→MCの人が楽だし、「画にしやすい」のは確かなんだけど、準備なしで適当なこと言う人多すぎ。専門性が軽視される傾向も（みのもんた、たけしはテキトーなこと言いすぎだし、古館伊知郎は顔をこわばらせる身振りだけで内容なさすぎるし）
        • 必ずしも「ジャーナリズムの衰退」というわけではなく、一つの発展型。てか、「ジャーナリズム」が機能したことって、今まであっただろうかという素朴な疑問（皮肉ではなく、不完全な道具をごまかしつつ使いこなしていかないといけないよね、ってことで）
  • 議題４：提案できるとすれば
    • 「各番組がどう報道したのか」の自己観察・自己言及機能が求められる（「お父さんのためのワイドショー講座」は、カスケードの上塗りでしかないから、もっとクレバーな検証がいいよね）
      • ネット上の「マスゴミ検証」は、そうした検証作業のニーズの表れでもあると見れないか？（ネットの方がすばらしいとは露ほどにも思わないのだけど）
    • 視聴者への「ネタばらし」＝リテラシーの着実な向上（リテラシーの高い文化圏をテレビ自身が作り上げていく必要はあるのではないか、と）
    • テレビの時間は有限だが、書籍やサイトにつなげることで議論は継続できる（そうしたメディアで最大多数を獲得することは難しいが、必要少数に情報を蓄積していくことが可能にならないかな、と）
• ※あとはその場のノリで

さて、どんな番組になっているんだろう。ちなみにアウトラインプロセッサは、普段はシンプルなsol4を使っているんだけど、今ググってみたら橋本大也さんのブログでもいろいろ紹介されていたので、あとで試してみよう思う。ポストイットや手帳のメモ書き→マインドマップ→アウトラインプロセッサ→原稿、という流れが今はお気に入り。