ケース4:chikiの失言(でも本音)。

「大変お待たせいたしました。○○サポートセンター、担当のchikiでございます!」





今日も、サポセンの中の人であるchikiの声が職場に響く。世の迷えるユーザーを救済するべく、今日もその手を受話器に伸ばす。今回ご紹介する電話は、若い男性の方でした。





お客様「あのさぁ、おたくのソフト買ったんだけどさぁ。インストールが出来ないわけよ」





当サポセンでは、「購入したけどインストールが出来ない」という相談が結構多いです。その際に考えられるケースとして、70%くらいが操作ミスかちょっとした勘違い、25%くらいがハードやドライブなどの問題、そして残りの5%くらいが大いなる勘違い。ちなみに「購入したCDだけが不良品」というケースはほとんどないようです。






chiki「左様でございますか。インストールできない際に、何かエラーメッセージは出ますでしょうか」





「でたよ」






「どういったメッセージでしょうか」





「「空き容量が足りません」とかなんとか」






「かしこまりました。お客様、ただいまのHD容量は残りおいくつほどでしょうか?」





「容量って何よ」





「かしこまりました。それではお調べさせていただきます。お手数ですが、デスクトップ上の「マイコンピューター」をダブルクリックしてください」





「したよ」





「Cドライブを右クリックして「プロパティ」を選択してください」





「したよ」





「空き領域、と書かれている項目はございますか?」





「あるよ」





「それでは、そちらを読み上げていただけますでしょうか?」





「結構あるよ」






「(教えてよ…)かなり残っているんですね。それでは、読み上げていただけますでしょうか」












「約100万バイト」





























(;゜Д゜)<たった1メガじゃん!!
















※1バイト=8ビット
※1キロバイト=1024バイト
※1メガバイト=1024キロバイト=1048576バイト
※1ギガバイト=1024メガバイト=1048576キロバイト=1073741824バイト













「大変申し上げにくいのですが、その容量ですとインストールできません…」







「なんで?」






「最低でも300メガはあけていただかないと、容量が足りないんです」







「はぁ? それおかしーよ」






「…と、申しますと?」





「だって、100万バイトあるんだぜ? 100万バイトも! 十分足りてるじゃん」






なるほど確かに100万バイトといわれたらすごい数のような気がする。10万馬力のアトムよりすごい気がする。気持ちは分かる。でも、実質はファミコン並みの容量なわけで。「タウリン1000ミリグラムも入ってるぜ!」とか言われると「おお、なんだかすごい気がする」って思うけど、実際は1グラムみたいな大いなる勘違いなわけですな。







「300メガバイトというのは、およそ3億バイトのことですので、お客様の容量ですと少々足りないようなんです」





「はぁ? そんなに必要なの? ありえねーよ、何様だよ!






「…大変申し訳ありませんが、出来ればもう少々容量を増やしていただかないと、インストールできないようになっておりまして…」





「はぁ? せっかく買ったのに? どんなパソコンでも使えるわけじゃねーの? そんなの不良品じゃんよ!!




「申し訳ありませんが、弊社のソフトはどのようなパソコンでも使えるわけではなく、適した環境でないとお使いになることが出来ないようになっております。今回は、容量さえあればお使いいただくことが出来るので、容量をあけていただければ…」




「しらねーよ! 「必要な容量がないとインストールできません」って書いとけよ! 不親切だよ! なんで書かないんだよ!」





「…申し訳ございません」(必要領域は明記してありますが…)





「申し訳ございません、じゃねーよ。書かない理由を聞いてるんだよ。なんでだよ。答えろ能無し!














「…おそらく常識の範囲だと思います」




















トウトウ言ッチャッタ。












「ああ!? 俺には常識がないってことか!?」






「いえ、そういうわけでは…」(そういうことです)





「常識がないヤツはこのソフトを使えないってことか!?」





「いえ、そのような意味では・・・」(そういう意味です)








「もういい! こんなソフト使わねぇよ! 友達に返すよ!! つぶれろ!!!」(ガチャ切り)
















(゜Д゜)<買ってないんじゃねーかゴルァ!!










このお客様とのやりとりが、chikiが一番「やってしまった」ケースでした。自分が「常識」と思っていても、人がそれを共有しているかどうかは別ですし、特にサポセンにはパソコンを使用する際の規則を共有していない方から頻繁に電話が来ます。そういう方となんとかコミュニケーションをとっていくのがこの仕事。かみ合わないことも、途方に暮れることもよくありますが、それでも相手を説得する、あるいは相手に納得していただく、満足していただくのがこの仕事なので、今回のはその意味でとてもまずい失言だったと思います。ぅぅ反省。





…が、一言だけ言わせてください。やってられるか!! ヽ(`Д´)ノウワァァン!!