今日のつぶやき

小谷真理さんの講演、超簡単レポ
◆2004年6月19日、近畿大学国際人文科学研究所東京コミュニティカレッジ「総合文化講座」にて講演「小谷真理―21世紀の最前線・SF、ファンタジーの冒険」が行われました。
◇1982年、メアリー・ジャコバスが作った「テクスチュアル・ハラスメント」という概念がある。
◇これは、文章における性的嫌がらせのこと。
◇ジャコバスは、スタンリー・フィッシュ『このクラスにテクストはありますか』をパロッた『このテクストに女はいますか』を書く。
◇冒頭に出てくる女子大生の記述が、本人の主体性を全く無視しているというフィッシュへの批判。
小谷真理がとある本で「小谷の文章は実は夫が書いている」と書かれる(本人は口にしなかったけれど、その文章を書いたのは山形浩生氏)。
◇訂正を求めるも、取り合ってくれず、裁判へ。通称「テクハラ裁判」。
◇どこが問題なのか、弁護士も裁判官も首を傾げていた。何故か? アメリカにはいくつもの例があるが日本にはあまり考察される機会がなかった。
ジョアナ・ラスの『女性の書き物を抑圧するハウツー本』という文章がある。そこでは「彼女は書いた。しかし、実は男が手伝っていた」「彼女は書いた。しかし、彼女だけは特別で他の女とは違った」「彼女は書いた。しかし、書かないほうが良かった」など、8つのパターンに分類した(結局は8つのクリシェだということ)。
◇今回の裁判も、「彼女は書いた。しかし、実は男が手伝っていた」というパターン。もちろんこれは男=有能/女=無能の差別。
◇調べてみると、日本でもかつてテクハラがあった(多分いくらでも出てくる)。沢田はぎ女という俳人が分かりやすい例。
◇彼女、沢田はぎ女は明治末期の才能溢れる女性俳人。或る時期を境にぷつりといなくなる。
◇実は、偉い人に「あれは実は男だ」と言われ、田舎へとひっこんでしまった。深層は闇の中だが(本人の証言はとれているのだが)、「女性だから」問題にされた。
◇はぎ女は、いわゆる「陰法師にされた女」だったのだ。
◇今後、文学やフェミニズムは「テクスチュアル・ハラスメント」について真剣に考察していかなくちゃいけない。
◇ちなみに、小谷氏の裁判の結果は「女性の著作権を考える会」に掲載。ご覧アレ。
◇興味が湧いたら『テクスチュアル・ハラスメント』(ASIN:4309904203)を読みましょう!