本日のメインディッシュ

◆「Scoop Colin L. Powell On Release of Japanese Hostages」
◆「Interview on Tokyo Broadcasting System International with Shigenori Kanehira」
「空腹海岸海の家　実行準備委員会（アジト）」さん、「敬天愛人　格物致知」さんの名記事を見れば、事の経緯はお解かりになると思いますし、既に多くのblogで指摘されていることのクリシェになりかねませんが、やはり一言加えたいと感じたので、この件について書きます。

パウエルが人質事件についてインタビューを求められたところ、「彼等を責めてもしょうがない」的な発言をしました。そのことが報道される際、実に多くのメディアが歪曲報道を行ったり掲載記事を削除したりしました。chikiはパウエル氏が行った今回の発言の全てを擁護するわけではありませんし、むしろ彼等ブッシュ政権側がネグリ＆ハート『帝国』を（半ば「冗談」であっても）「親米の書」として読んでいる現状を考えると（参照）、その言葉に見え隠れする自己肯定を読み取ってしまうという立場です。しかし、それでも今の日本に流布している言説よりは彼の発言の方が遥かに視野が広い発言であり（嘆かわしい！）、逆に日本の言説空間のあまりの程度の低さにほとほと呆れてしまいます（議論になったら負けますね）。例えばあまりに日本的な「芥川賞」如きで浮かれてしまう男根主義者、石原慎太郎の「この発言」を見よ！

売上を気にしての自主規制なのか、どこかから口止めされたのかは分かりませんが、英語の記事が出回っている以上、多くの目に留まるのは事実なわけで。日本人の語学力の低さを世界に喧伝するか「言論鎖国」をさらに強める効果には役立ちますが、新聞社としては信用を無くすだけだと思います。もちろんchikiは元から信用してませんでしたが。

さて、ここ数日で一気に高まった規制ラッシュ、及び「世論」の流れにchikiはものすごい危機感を覚えます。なにせ右を見ても左を見ても「自己責任」の乱立（参照）。この現状は思考停止を通り越してほとんど異常です。chikiは長い議論を通して自分の立場を表明させていただきましたが（こちら）、ボランティアが①日本という国のプレゼンスにもなり②大局的に見れば社会構築に有効（空間的にも時間的にも）、という立場からむしろ推奨されるべきであると論じてきました（宮台真司も同意見でしたか）。

ところが現在、渡航できないよう法規制したり、彼等に賠償請求をする、というような発言まで出てきている。これ、実行されたら未来永劫に渡って笑いものになることは間違いありません。日本的な、あまりに日本的な発想です。鎖国でもする気でしょうか？本気で推し進めようとしている政治家もいると聞きましたが、そこまでして歴史（の汚点）に名を刻みたいのでしょうか。断言しますが「自己責任」論を掲げる人は、そのことで自分の首を絞めていることに気付いていません。仮にそのために「痛い目」にあったとき、「自業自得」と言い張れる覚悟があなた達にあるのかと問いたい。問い詰めたい。一週間くらい糾弾し続けたい。

事件が発覚して間もなく浅田彰氏がweb上で発言したところ、あのフリッパットな文体に釣られたように「浅田も堕ちたな」等の発言が多くのblogにてありましたが（参照）、普通に考えてそのようなblogを書いている人と浅田彰氏ではオツムに雲泥の差がある訳で、chikiがはてなを巡回しながら失笑していたことをここに告白します。

【参照】
◆「イラク人質拘束事件からはじまった議論　目次」

◆いくつかの記事
「“反省なし”に小泉キレた「自覚ない」」（小泉"X-JAPAN"純一郎氏や他閣僚の意見）
「救出費用は数億円？「弁償させるべき」の意見も」
「産経抄」
「読売新聞」
「イラクで拘束邦人が日本に掛けた迷惑料既に１３兆５千億円」
「日本経済新聞」