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ネット社会と「UDプロジェクト」翻訳
「UDプロジェクト」をご存知だろうか。UDとは分散コンピューティングシステムを使用し、がん進行に関係あるたんぱく質に影響を与える分子との相性を計算する、世界的規模のプロジェクトだ。
たんぱく質と影響分子の相性の計算に、最新スーパーコンピューターを使用して解析しても2000年以上かかる予定だった。
しかし、一台のスパコンで時間がかかるとするのならば、各企業や家庭にあるパソコンを使用してなんとか早く解析出来ないかという事で発足したのが分散コンピューティングプロジェクト、UDプロジェクトである。
簡単に言えば、癌治療のための方法を、各家庭などのパソコンが協力して行う、ということだ。



この企画は参加者の善意に基づいて行われ、各PCに与えられる負担はほとんどないように配慮されている。
全世界から参加者が名を挙げ、自らのPCの空き容量を提供しているのだが、日本で最も目に見えた反応が実は他でもない2ちゃんねらーであることは、別段驚くことではないのかもしれない。
2ちゃんねる「大規模オンラインゲーム板」では、UDプロジェクトのスレッドが常に存在し、専用ページがチームを組み、その計算した量を競いあいながら参加している。(「UDがん研究プロジェクトについて@2ch」「Team2ch@mmo的UD解説暫定HP」「UD-Team2chWiki」などを是非見てください。)



UDプロジェクト自体、P2Pなどの論理に酷似しているし、参加者もハンドルネームという半匿名状態である点やローカルなネットワークでの連携という点も同質の論理が流れているように思う。そんな中で、モチベーションのひとつとして存在しているのが「闘病日記」というサイトに掲載されている文章である(その目で、5月後半の日記を見ていただきたい)。この日記をモデルにしたFLASHが作成されるなど、その反響は大きく、戦略的に「物語」を作り出しているのが分かる。こちらを参照。FLASHには他にも「お兄ちゃんありがとう」「お医者センセーと少年」などがある)
FLASHを使い、「とにかくダウンロードしろ!」「クリック一つで命を救える!」など、いかにも2ちゃんねるらしい戦略だ。(2ちゃんねるの団結の戦略については「UNIX FLASH」などを参照。)



chikiはネット社会の住民のことを隠喩的に2ちゃんねらーと呼ぶが、その意味で2ちゃんねる的な論理がローカルな方法で繋がり、大げさに言えば「世界を救う」日も遠くないかもしれない。



計算は、近々終了するとの見通しも出ているそうです。注目すべき話題ではないでしょうか。