「保守速報」裁判の高裁判決と、ヘイトスピーチ対策のこれから

昨年、地裁判決によって、まとめサイト「保守速報」によるライター李信恵氏への差別や名誉棄損などが認定された(詳細は→http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20171118/p1)。この判決を不服として、「保守速報」は控訴していたが、2018年6月28日、大阪高裁が1審の判決を支持し、「保守速報」の訴えをいずれも棄却するという判決を出した。


名誉毀損や差別が認定され、李信恵氏への慰謝料が必要だとした点は、一審と同様だ。但し、高裁判決では、より差別事象ごとに整理した判決文の書きぶりになっていた。その書きぶりは、あたかもウェブ上の排外的主張に対する、法的観点からの丁寧なQ&Aのようでもあった。


以下、判決文から、控訴人(保守速報)の主張に対する高裁の判断について、気になった論点を自分なりに要約していきたい。



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(1)各ブログの一体性及び新規性
控訴人】
・本件各ブログ記事は複数の第三者による複数のレスで構成されており、各ブログ記事単位で集合体として一体をなしているわけではないから、各レスの表現が名誉棄損に当たるとしても、ブログ記事全体が名誉毀損、侮辱、人種差別、女性差別にあたるわけではない


【高裁判断】
・本件各ブログ記事は、控訴人がその相当数の表題を作成し、その表題の下に、2ちゃんねるのスレッド又は被控訴人(※李信恵氏)のツイッターに掲載されていたレス又は返答ツイートからごく一部を選択したうえで、順番を並び替え、表記文字を拡大・色付けするなどの加工をして編集・掲載したものである
・すなわち、本件各ブログ記事は、控訴人が一定の意図に基づき新たに作成した一本一本の記事(文書)であり、引用元の2ちゃんねるのスレッド等からは独立した別個の表現行為である
・(本ブログ記事は)各レスを個別にみるものではなく、当該レスを含むブログ記事が名誉毀損や侮辱罪にあたるかを判断するものである


控訴人】
・各ブログは2ちゃんねるの記載内容以上の情報を伝えるものではない。


【高裁判断】
・素材は2ちゃんねるであるとしても、情報の質、性格は変わっている
・引用元の投稿を閲覧する場合よりも記載内容を容易かつ効果的に把握することができるようになっている上、読者に与える心理的な印象もより強烈かつ煽情的なものになっているというべきである
2ちゃんねるの読者とは異なる新たな読者を獲得していることも否定しえない
・新たな文書の「配布」であり、新たな意味合いを有する


控訴人】
・社会的評価の低下や名誉感情の侵害は、2ちゃんねるにおいて元のレスを閲覧し得る状態になった時点で発生しており、社会的評価を新たに低下させるなどすることはない


【高裁判断】
・保守速報には相当数の読者がいると認められる上、保守速報と2ちゃんねるとではその読者層も異なっているから、新たにより広範に社会に情報を広めたものと言える
控訴人が各ブログ記事を掲載した行為は、その内容によっては、被控訴人の社会的評価をより低下させたものと認められる


(2)権利侵害又は悪質性の不存在について
控訴人】
・トンスルの意味を理解できたとしても、それは被控訴人が朝鮮半島にルーツを持つというほどの意味にとどまる
・トンスルという用語が、2ちゃんねる等では侮辱的意味を有するとしても、このような論戦の場で使用される用語により被控訴人が名誉感情を害されたととることは困難である


【高裁判断】
・トンスルが韓国人又は朝鮮人を侮辱する際に用いられる言葉として理解される
・侮辱的表現である以上、これにより被控訴人が名誉感情を害されることがないとはいえない


控訴人】
火病の語義は一般的ではなく、仮に「精神病又は一瞬の癇癪やヒステリー」を意味すると理解できたとしても、それはせいぜい被控訴人の言動が穏当でないというほどの意味にとどまる


【高裁判断】
火病が韓国人又は朝鮮人を侮辱する際に用いられる言葉として理解される
・被控訴人の名誉感情が害されることはないとの控訴人の主張に理由がない


控訴人】
・「マジこいつゴミ」「脳内お花畑」「浅はか」「コウモリ野郎」等の表現は、これが被控訴人個人にむけられた侮辱的表現であるとしても、議論の中で被控訴人の言動をからかう程度の意味合いしか読み取れず、社会通念上許される限度内にとどまる
・そのほかの表現(カス・本当にくるってるなこのクソアマ・精神病・頭くるくるぱー・キチガイ・もはや狂ってます・頭おかしい・気違い女・馬鹿丸出し・バカ左翼鮮人・バカだろリンダ・アホウ・ボケ・バカ・どこまでアホなんだ、この婆は・寄生虫ばばあ・寄生虫・日本に寄生・日本にしがみついてタカって自分の存在を確認している・害毒・ゴキブリ・馬鹿なゴキブリ・ヒトモドキ・人外・朝鮮の工作員・このガラの悪さ、品のなさ、顔の不器用さが在日朝鮮人のリンダちゃんの特徴・外面も内面もブサイクな輩・ヘイトスピーチ増幅器)も、社会通念上許される限度を超えた侮辱に当たらない


【高裁判断】
・「マジこいつゴミ」等の4つの表現は、被控訴人の人格を貶める攻撃的表現又は被控訴人の精神状態や知性を揶揄する侮辱的表現とみるほかない
・その他の表現(頭くるくるパーや寄生虫、ゴキブリ、人外など)が、社会通念上許される範囲内の表現、このような言葉を相手方にいうことが本邦における常識である、言い換えれば、このような言葉を言われても大部分の者は名誉感情を害されないとは、認めることができない
・上記表現は、社会通念上許されう限度を超え、相手に言うことは常識に反し、このような言葉を言われれば名誉感情を害されるというべきである


控訴人】
・外国人制度等に関する議論又は一定の者に日本を出ていくことを提案するにとどまる
・攻撃的な表現を用いたモノでも、「在日朝鮮人であることを理由に」被控訴人を排除することを扇動するものではない


【高裁判断】
・これらが何らかの議論であるなどとはいえず、単に日本からの出国を提案する内容でもない
・これらは、在日朝鮮人であることを理由に被控訴人に日本から出ていくよう求めているものというべきである
・ブログ記事は、被控訴人に対する人種差別にあたる
・これを閲覧した一般読者がおよそ具体的行為を扇動されたりすることもあり得ないとは言えない


控訴人】
・「雌チョン」(※ほか、クソアマ、ババア、年中更年期障害みたいなもんだろ、BBA、ブス・ブサイク・鏡見ろ・醜いなど)などの表現及び本件似顔絵は女性であることを理由に差別することには当たらない
・侮辱的表現としては、社会通念上される限度に留まる


【高裁判断】
・女性又は高齢の女性に対する侮蔑的表現、被控訴人が中年以降の年代の女性であることに対する揶揄的表現、被控訴人が女性であることに着目してその容姿を貶める表現である
・このような用語を使用されて、自己に対する客観的、中立的な表現であると受け止める女性がいるとはおよそ考えられない


(3)違法性阻却事由の存在について
控訴人】
・対立思想支持者全体に対する過激な批判的言動に対抗するための対抗言論として適当と認められる限度を超えていない


【高裁判断】
・言論の応酬の定理は適用されない
・その内容において適当と認められる限度を超えている


控訴人】
・インターネット上、ことに2ちゃんねる上の表現については、その信頼度は低く、名誉が毀損されてもインターネット上で回復が可能である


【高裁判断】
・インターネット上の表現であるからとの理由で、一般の読者が信頼性の低い情報として受け取るとは限らない
・インターネット上に掲載された情報による名誉棄損の被害の回復がむしろ容易ではない


控訴人】
・精神的苦痛を被ったとすれば、まずは削除依頼なり警告文なりで当該行為をやめさせるのが通常
・被控訴人が本件各ブログ記事の掲載をやめさせるための行為等(削除依頼等)をしなかったこと及びツイッターでの発言内容から、被控訴人は精神的被害を被っていない


【高裁判断】
・(※別件で要望された)保守速報で掲載された記事の削除依頼を拒否してさらに批判した上、その記事を固定記事にしている
・被控訴人が控訴人に対して削除依頼や講義等を行うのを躊躇するのは自然な事であり、削除依頼や抗議をしなかったことが、被控訴人が精神的苦痛を被っていないことにつながるものではない


控訴人】
・被控訴人が保守速報に自分に関する記事が掲載されていることを知ってから本件訴訟までに約1年を要したことから、被控訴人が損害の拡大に寄与した


【高裁判断】
・1年という期間は、訴訟を提起するのを不当に遅らせたと評価されるような期間ではない
控訴人は、保守速報で本名を明らかにしておらず、被控訴人は、控訴人のIPアドレスや住所の特定など訴訟を提起するのに必要な情報を得るのに時間を要したことも認められる
2ちゃんねるに対して削除依頼をしなかったからといって、損害の拡大に寄与したことにならない


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この判決は、「保守速報」が複合差別を行っていると明確に認めたものになっている。また、2ちゃんなどの匿名掲示板からのまとめのみならず、Twitterなどからのまとめであっても応用可能なものになっている。ウェブ上のヘイトスピーチ対応をめぐる議論において、重要な役割を果たす判例になると思われる。今回の判決に励まされて、新たな訴訟が行われるかもしれない。


現在、<ネトウヨ春のBAN祭り><広告剥がし>などの流れの中で、「保守速報」に対する広告出稿が控えられている。その文脈上でも、SNS運営元や広告出稿者が、この判決を議論の具体的材料にする可能性もある。いずれにせよ、インターネット史に残る裁判であることは間違いない。


なお、判決文で紹介されている文言を読むだけで、その言葉が向けられているわけではない僕でさえ、メンタルが削られ気分が悪くなった。こうした言葉を向けられた当事者にとって、その精神的苦痛は大変なものであったろう。


「まとめ」や記事作成、あるいはSNS掲示板への投稿は短時間で可能だが、その書き込みによる攻撃は長期間にわたって被害者を苦しめ、読者を扇動し、誤った学習を促し、新たな差別を助長する。僕はヘイトスピーチなどは、「言葉の暴力」すなわち、心と脳味噌へのグーパン、人権や尊厳へのストンピングであると考える。ウェブ企業の中には、ヘイトスピーチに対する対応が消極的にみられるところも多々見られるが、実態に即した責任ある対応が求められる。

「保守速報」裁判の地裁判決と、「まとめサイト」の今後

2017年11月16日。京都地裁で、ライターの李信恵氏が、まとめサイト「保守速報」を相手取って訴えた裁判の判決が出た。李信恵氏が原告となり、「保守速報」が被告となったこの裁判では、「保守速報」に対し、200万円の支払いを命じるという判決がひとまずでた。


この判決で確定というわけではないため、今後、高裁などでどういった判断が下されるのかを見守りたい。というのもこの裁判は、今後「まとめサイト」の法的責任をどのように位置づけるかという重要な参考事例となりうるためだ。


以下、判決文から、原告と被告双方の主張と、それに対して地裁がどのような判断を行ったのか、気になった論点を自分なりに要約していきたい。

  • 争点1:原告の権利を侵害しているか

【原告の主張】
「朝鮮の工作員」「キチガイ」「寄生虫」「ゴキブリ」「ヒトモドキ」「クソアマ」「ババア」「ブサイク」「鏡見ろ」「死ね」などの数多くの書き込みが、名誉毀損、侮辱、人種差別、女性差別、いじめ、脅迫、業務妨害にあたる。


【被告の主張】
ブログ記事は、原告個人に対する批判ではなく、対立思想に対する批判又は保守的な政治思想に基づく意見ないし論評にすぎない。名誉感情を害するものや、差別などにはあたらない。


【判決】
本件各ブログ記事には、名誉毀損、社会通念上許される限度を超えた侮辱、人種差別、女性差別にあたる内容が含まれているというべきである。

  • 争点2:新たな権利侵害の有無

【原告の主張】
被告は、表題の作成、抜粋、強調、加工、転載などを行うことで、ブログ記事の内容を、引用元の投稿よりも集約的かつ先鋭的なものに変容させた。その結果、情報の伝播性が高まり、内容が広く知られた。したがって、原告の権利利益が新たに侵害された。


【被告の主張】
表題の作成、抜粋、協調、加工、転載などはまとめ記事を作成する上で当然必要となる行為だった。本件各ブログ記事の内容が2ちゃんねるのスレッド等の読者以外に広く知られたことは、何ら証明されていない。原告の権利利益は引用元の投稿の掲載行為により侵害されたのであって、本件各ブログ記事の掲載行為により新たに侵害されたものではない。


【判決】
本件各ブログ記事は、引用元の投稿を閲覧する場合と比較すると、記載内容を容易に、かつ効果的に把握することができるようになったというべきである。記事の内容は、2ちゃんねるのスレッド又はツイッターの読者以外にも広く知られるものとなったといえる。ブログ記事の掲載行為は、引用元の2ちゃんねるのスレッド等とは異なる、新たな意味合いを有するに至ったというべきである。被告がブログ記事を掲載した行為は、2ちゃんねるのスレッド又はツイッター上の投稿の掲載行為とは独立して、新たに憲法13条に由来する原告の人格権を侵害したものと認められる。

  • 争点3:違法性阻却事由の有無

【被告の主張】
(1)名誉毀損について:ブログ記事を掲載した目的は、原告を誹謗中傷することではなく、2ちゃんねるのスレッドに掲載された情報を集約し、読者に分かりやすく紹介するという、専ら公益を図ることである。原告は知名度のある記者として、記事等において発言したのに対し、レスの投稿者は、無名の私人として、2ちゃんねるのスレッドで原告の主張の過激さと同程度の過激さをもって原告個人ではなく対立思想を批判したに過ぎず、その方法及び内容は相当な限度を超えるものではない。
(2)対抗言論の奏功:原告は知名度のある記者として反論を繰り返しており、その対抗言論が奏功している。したがって、原告の社会的評価の低下が否定される、又はその違法性が阻却されるというべきである。
(3)インターネット上の表現であること:インターネット上の表現は従来型のメディア上の表現と比較し、一般の読者には信頼性の低い情報と受け取られるし、これにより一定程度名誉が毀損されても、被害者はインターネット上の反論によりその回復を図ることが可能である。インターネット上の表現は、より広く保護されるべきであるから、掲載行為による名誉棄損については、違法性が阻却されるというべきである。


【原告の主張】
(1)名誉毀損について:原告は私人に過ぎず、被告が各ブログ記事を掲載した目的は、原告を誹謗中傷することにあって、専ら公益を図ることにないのは明らかである。内容は、原告に対する人身攻撃に及んでおり、意見ないし論評の域を逸脱している。
(2)対抗言論の奏功:保守速報が多数の読者を持つ影響力の大きいブログであることなどからすれば、十分な反論はできず、対抗言論の奏功をいう被告の主張には理由がない。
(3)インターネット上の表現であること:従来型のメディア上の表現とは異なり、誰もが容易に閲覧することができる上、削除されても複製や転載によって永続的に広まっていく性質があり、被害の程度は深刻。違法性が阻却されることはない。


【判決】
(1)名誉毀損について:ブログ記事全体において、侮辱的な表現、あるいは原告が人であることや通常の判断能力を有することを否定するような不穏当な表現を多数用いて、原告の精神状態、知的能力、人種、容姿等を揶揄するものである。これらはいずれも原告の言動を批判するにとどまらず、原告の人格そのものを攻撃するに至っていると認めるのが相当である。違法性が阻却されるという被告の主張は、採用することができない。
(2)言論の応酬の法理について:各ブログの掲載行為による名誉毀損は、原告の発言と対比して、その内容において適当と認められる限度を超えているというべきであるから、いわゆる言論の応酬の法理により違法性が阻却されるという被告の主張は、採用することができない。
(3)その他の違法性阻却事由について:インターネット上の表現であるからといって、一般の読者がおしなべて信頼性の低い情報として受け取るとは限らないこと、インターネットに掲載された情報は、不特定多数の者が瞬時に閲覧可能であり、これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること、一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく、インターネット上での反論によりその回復が十分に図られる保証があるわけではないことなどを考慮すると、違法性が阻却されるとは解し難い。被告の主張は、採用することができない。

  • 争点4:原告が被った被害の額

【原告の主張】
被告の違法行為は人種差別および女性差別の複合差別であり、原告が複合差別により精神的苦痛を被ったことを確かめてそのことを歓迎したり、原告を日本の地域社会から排除しようとしたりするもの。
また、被告は、過激な内容のブログ記事を掲載して多くの広告収入を得るという動機をも有していたこと、実際に約1年間に45本ものブログ記事を継続的に掲載し、その内容がインターネットを通じて広く知られていたことなどからしても、被告の不法行為は極めて悪質である。


【被告の主張】
原告には損害が生じていない。被告は各ブログ記事でバナー広告収入を得ていたが、過激な内容のブログ記事を掲載して多くの広告収入を得るという動機は有していない。このことは、本件各ブログ記事が被告の掲載した全ブログ記事のうち本数にして1%にも満たないことからも明らかである。
原告は、被告が削除要求に応じる旨を表示していたにも関わらず、被告に削除を要求せず、2ちゃんねるの管理者に対しても削除を要求していない。このように削除を要求せず長期間放置したことにより、自ら損害の拡大に寄与したというべきである。


【判決】
当該表現が原告の名誉感情、生活の平穏及び女性としての尊厳を害した程度は甚だしいものと認められる。特に、本件においては、複合差別に根差した表現が繰り返された点も考慮すべきである。
被告は、約1年間にわたって名誉毀損、社会通念上許される限度を超えた侮辱、人種差別又は女性差別に当たるブログ記事を40本以上も掲載したのであり、不法行為の態様は執拗である。情報を紹介する目的で掲載しただけではなく、原告の名誉を棄損し、侮辱し、人種差別及び女性差別を行う目的をも有していたと認めるのが相当である。
他方、被告が各ブログ記事の掲載行為により一定の広告収入を得ていたことに争いがないとはいえ、被告が過激な内容のブログ記事を掲載することにより多額の収入を得るという動機まで有していたことを認めるに足りる証拠はない。
原告が削除の要求をしなかったからといって、損害の拡大に寄与したことにはならない。

  • 争点5:権利濫用及び信義則違反

【被告の主張】
本件各ブログ記事の内容は、政治思想に関わるものであり、憲法21条の保障する表現の自由の中でも特に保護されるべきである。原告が本件訴訟を提起した目的は、被害からの救済ではなく、このような要保護性の高い政治思想に係る表現の自由を抑圧することになる。本件訴訟は、いわゆるSLAPP訴訟にほかならない。


【原告の主張】
原告が本件訴訟を提起した目的は、政治思想を抑圧することにあるのではない。表現の自由は無制限に保障されるものではなく、個人の権利利益を侵害する表現は、一定の要件を満たす場合には規制の対象となる。原告は、各ブログ記事により、憲法13条および14条1項で保護された自己の人格権及び平等権を侵害されたため、その被害からの救済を求める目的で本件訴訟を提起したのである。SLAPP訴訟には当たらない。


【判決】
本件訴訟における請求が権利の濫用に当たり、信義則に反するものとは認められない。


以上、判決文を自分なりに整理した。地裁の判断は、書き込み内容の問題点だけではなく、「まとめただけ」「ネットだから」では済まされないという、ウェブ上の表現形式についても触れるものとなっている。今後の裁判のゆくえ、および類似の係争について、どのような判断が下されていくのか、見ていきたい。


私見では、この判決はいわゆる「まとめブログ」だけでなく、togetterやNAVERまとめなどのサービスにおいても重要な意味を持つと考える。「まとめ」もまた、主体的な表現である以上、様々な責任が問われる行為だ。このことを前提としたコミュニケーションが必要となってくる。

「netgeek」が流した「泉放送制作」デマについて

2017年6月20日の「netgeek」に、「日テレ・フジ・TBS・テレ朝の16番組以上を1つの制作会社が担当して偏向報道やりたい放題。日本は乗っ取られた」いうタイトルの記事が出ていた。内容は、「泉放送制作」という制作会社が各局のニュース番組を作っており、意図的に偏向報道を行っているというもの。

記事内容については、放送業界に関わっている者であれば、<放送現場を知らない人が、ネットで拾った言葉を繋ぎ合わせて作り上げたデタラメ>だと分かるもの。実際、放送業界の人などから、デマであるという旨の指摘も既に行われている。ただ、Twitterなどの反応を見ていると、真に受けている人も少なくなかった。国会議員であるとか評論家であるとか、社会的地位のある人もこのデマの拡散に加担していた。

テレビ局が放送する番組によっては、自社の社員だけでなく、制作会社からディレクター、AD、事務スタッフなどの派遣を受けて制作現場を回している。「泉放送制作」は、ウェブサイトによれば従業員170人。業界でも大きめの制作会社ではあるが、だからといってその制作会社が編集方針などを決めるわけではない。僕も出演したのことのあるいくつかの番組スタッフに確認しても、ある現場ではADさんだけとか、ある現場では事務スタッフだけといった具合で、制作会社のかかわり方も様々だ。まさか、ADがひとり関わっただけで、マスメディアを「乗っ取れる」と言うのだろうか。

制作会社は、各局・各番組の依頼に応じて、制作スタッフを派遣したり番組制作を補助するもの。ある制作会社が、複数の番組の仕事を請け負ったとしても、まるまる番組を作っているというようなものでは必ずしもない。「泉放送制作」のウェブサイトには、様々な局や番組の制作実績が掲載されている。それを見て、制作会社こそが何から何まで番組を作っていると想像を膨らませたのかもしれない。しかし実際には、それぞれの局や番組ごとに、複数の制作会社が関わる事も多く、特定の制作会社が「やりたい放題」というようなことではない。

なにより、特定の制作会社が複数の番組に関わっていることをもって、「日本が乗っ取られる」と表現する意味がよくわからない。複数の番組を作っている制作会社など、「泉」以外にもいくらでもある。「日本が乗っ取られる」とはあまりに妄想が過ぎる。「netgeek」は採用情報をウェブサイトに掲載しており、そこには「記事を書くライターを募集しております。採用対象は新聞レベルの文章が書ける経験者のみ」と書かれている。だが、同サイトの他記事を見ても、「新聞レベルの文章」とはとても思えない。

Twitterなどの反応では、「乗っ取り」「黒幕」といった言葉が並んでいて、ひとつの陰謀論として消費されている。何か気に入らない放送があると、「また泉さんかな?w」といった趣旨の書き込みが行われたりする。特定の記号を見つけるたびに壮大な物語と結び付けるという点で、陰謀論者ととてもよく似ている。というよりも、これ自体ももはや陰謀論の一種だと言っていいだろう。

メディアを正して社会をよくしたいというよりも、「メディアの裏を見抜いている自分たち」という消費が目的なのだろうか。もしそうでないのであれば、間違った知識で何かを叩くという行為は無駄であるため、こうしたデマにこそ厳しく対応したほうがいい。メディアチェックという言葉には、自分の書き込みも含めたネットへの投稿を含める必要がある。

国会議員がこのデマを訂正し、そのことを共同通信などが報じたことによって、いまは拡散がある程度鎮静化している。デマは放置しておくと、質的にも量的にも「育ってしまう」。だからこそ早めに是正されることが望ましい。報道が出たことはその点ではよかったと思う。

ところでこの記事には、冒頭部分にTBS社員である金富隆氏の写真が掲載されていた。使われていた画像は、2016年に放送された「TBSレビュー」からのキャプチャーだ。なぜこの画像が使われているのか。なぜ金富氏なのか。本文では一切触れられていない。

金富隆氏は僕の友人である。彼はTBS社員であり、泉放送制作とは何の関係もない。そして、彼が関わってる番組においてすら、最高責任者というわけでもない。彼は日本人であるが、在日韓国人在日朝鮮人に対する差別的感情を煽るため、「金・富隆」とわざわざ分け、彼を「在日認定」する書き込みも多く見かけた。

泉放送制作」や「金富隆」というワードでツイッターなどを検索すると、デマを拡散するだけでなく、メディアについての事情通ぶった書き込みが多く出てくる。「ようやくこの事実が知られるようになったか」といったような趣旨の書き込みをみた時は、痛々しすぎて見ていられなかった。

何かを「叩く」先には、ただの記号が横たわっているわけではない。「叩く」相手は、あなたや、あなたの友人や仲間、家族や親戚と同じ、生身の人間がいる。特にデマの場合、その是正のコストはとても大きく、流された側が多大なリソースを割かなければならなくなる。

共同通信の記事が出てから間もなく、「netgeek」から当該の記事が削除された。だが、このブログ記事を執筆している現在において、相手方への謝罪などは見当たらない。当該サイトがこれからどういう対応をするのかわからない。だが、一般的に、「デマを流し、お金を儲け、問題になったら逃げる」という手法が「得」になるようなウェブ社会のあり方は、改めていかなくてはいけないと思う。

福島県沖地震に関する流言まとめ

本日11月22日の5時59分、福島県沖を震源とする震度5弱地震があり、各地で津波も発生しました。地震津波原発に関する情報に多くの人が関心を寄せる中、いくつかの流言などがtwitter上に流れました。

  • 虚偽の被害報告



あたかも今回発生した津波の写真をアップしているかのように書かれていますが、これは東日本大震災の際の写真です。そのことを把握した多くのユーザーが、不適切な投稿であると指摘・通報していました。熊本地震の際には、「動物園からライオンが逃げた」という趣旨の流言を流した男性が、偽計業務妨害の疑いで逮捕されています。


ニセの被害状況を煽り、周囲を不安にさせる。こうした行為は周囲にとって悪影響にしかなりませんし、いまや本人にとってもリスキーな行動であると言えます。(※多くの批判などが集まったためか、14時現在で当該の投稿は削除されています)




残念なことに今回も、「外国人犯罪流言」やヘイトスピーチが見受けられました。twitterでは15日から、新機能として「人種、宗教、性別、考え方などを誹謗中傷または差別している」投稿を、問題あるツイートとして報告できるようになりました。そのため、上の流言に対しても、ただ投稿を批判するだけでなく、多くのユーザーが通報を行っていました。


「ヘイトをたしなめる」「淡々と通報する」動きは、以前と比べてもスピーディになっていると感じられます。(※多くの批判などが集まったためか、14時現在で当該の両アカウントは鍵垢になっています)

  • 政治家の情報発信



今回の地震の際には、福島第二原発3号機の使用済み核燃料プール冷却装置が停止しました(その後再開)。これについて、衆議院議員のあべともこ氏が、「使用済み燃料プールの冷却ポンプがつまり」と事実と異なる投稿をしました。この件について、多くの指摘が集まり、あべ氏は数時間後に訂正をしました(但し、その訂正の仕方も批判されています)。


災害時には、政治家のガバナンス能力や情報発信がより問われてきます。「確かな情報提供のための投稿」ではなく、「政権批判のための投稿」と捉えられれば、信頼を損なってしまいます。

  • 災害再来流言



大きな災害発生時には、「災害再来流言」がしばしば発生します。おりしも数日前から、「11月23日に南海トラフ地震が起きる」といった流言がネット上に広まっていました。そのため、より不安を感じてる方も多く見受けられます。


但し、現在の地震研究では、「○月○日に地震が起きる」といった、事前の正確な予測はできません。皆さんも報道などで見聞きしたことがあると思いますが、「○年以内に発生する確率が○%」といった大まかな予測を元に、「いつ来てもおかしくない」と考えたうえで、日々備え続けるしかありません。予言して注目を集めようとする人の投稿に左右されたり、不確かな情報を拡散するよりも、しっかりと対応できるよう備えておくことのほうが重要です。


(適宜更新するかもしれません)

毎日新聞の「ダム底セシウム」記事について、いち委員としての意見

9月25日の毎日新聞朝刊にて、「ダム底 高濃度セシウム 福島第1周辺 10カ所8000ベクレル超」と題された記事が掲載されました。この記事の中に、多くの誤りが含まれていると、ウェブ上で複数の方々が指摘していました。
http://togetter.com/li/1029155


毎日新聞は何度か小さな訂正記事を掲載しましたが、対応が不十分だったことから、「開かれた新聞委員会」で紙面審査を行うことになりました。「開かれた新聞委員会」は、紙面上に何かしらの問題があると議題化された際、それに対して「意見」を述べる組織です。


開かれた新聞委員会とは
http://www.mainichi.co.jp/corporate/hirakareta.html


「開かれた新聞委員会」で審査の対象になるということは、毎日新聞がこれまでの訂正では不十分であり、再発防止に努めるべき案件と認めていることが前提です。こうした対応をとるに至ったということは、読者の方からの「外からの指摘」も、記事を問題視した記者ら「内からの指摘」も、相応の機能を持ったということです。審査の結果、改めての訂正趣旨説明と、各委員のコメントが、本日・11月17日の紙面上に掲載されました。以下がそのURLです。


委員会から 「ダム底にセシウム」の訂正 専門記事、チェック徹底を
http://mainichi.jp/articles/20161117/ddm/012/070/134000c


記事上には、各委員のコメントが一部だけ紹介されていますが、具体的にどのようなコメントだったのかの全文は紹介されていません(編集権は毎日新聞にあるので、それは構いません)。そこで、私個人が毎日新聞社に寄せたコメントの全体を以下に掲載します。

***

原発事故以降、多くの人が、放射性物質や被曝を巡る議論に大きな関心を寄せています。そして多くの市民が、被曝をめぐるに状況認識をめぐって、大きく分断されるという状況が生まれています。そうした中、メディアに期待されているのは、確かな根拠に基づく記事を配信することです。
今回、毎日新聞は、一面トップおよび解説コーナー等において、複数の誤報を行いました。ウェブ上では、記事についてすぐさま多くの反応がありました。専門家を含む多くの読者が、記事の問題点を指摘していたのです。それらの指摘は、Twitterアカウントを持つ毎日新聞記者の元にも届いており、専門知を持つ記者個人がそれに対して説明する場面もありました。
そうした中、訂正コメントが複数回にわたって出されました。しかしそれらは、ウェブ上のタイムリーさに反し、とても遅い対応でした。また、いずれのコメントも、その訂正によって記事の趣旨がどう変わるのかという説明がなされておらず、わかりづらいものとなっていました。数字を誤って伝えた結果、実際以上に不安を煽る内容(センセーショナリズム)になっていたにも関わらず、訂正によって文脈や趣旨がどう変わるのかという説明がなされていないためです。さらに、一面トップなどででかでかと紹介された記事のインパクトに比して、訂正コメントそのものが目立たず届きにくいという問題点もありました。加えて、外部から指摘された疑問に対して、応えきれていないという問題も残ります。
今回、開かれた新聞委員会あてに、毎日新聞より、この問題を社内検証した報告書が提示されました。私からは、まずはこの報告書を元に、読者に経緯の説明をしっかり提示すること、特にウェブメディアを通じて丹念な報告を行うことを求めます。その際には、さらなる疑問点が読者から寄せられることを想定されますので、それにも応答することを求めます。
但しこの報告書では、再発防止については書かれているものの、本件に関する信頼回復について触れられていません。今回の検証、および開かれた新聞委員会からの応答がその一環として期待されているのは承知していますが、例えば「毎日メディアカフェ」のような場所で、記者と専門家・読者とがオープンな議論を行い、その模様を中継・レポートするといった、より開かれた試みも模索してほしいと思います。
今回は、SNSなど、開かれたメディアからの指摘によって、不十分ながらも訂正が行われるという経緯がありました。そうした集合知の役割は重要ですが、さらに自主努力により開かれた場所を設けていくことで、本件に関心を寄せ、意見をくれた読者の方々の信頼を得る試みが重要であると思います。今回の「誤報」をたたき台として、記者と読者が放射性物質や被曝に関する基礎知識・現状を改めて学び直す機会を設けたり、それを記事化するなども重要でしょう。
もうひとつ、報告書で触れられていない論点について指摘しておきます。記事中に「専門家」のコメントもありました。いかなる「専門家」を選ぶのかという段階からして、そのメディアの特色が出ますし、記事の方向性にも大きな影響が出ます。また、コメントをとる際、「専門家」に、記者がいかなる情報を与えるのかによっても、コメントの質が変化します。さらには「専門家」が一時間レクチャーしても、記事になるのは数行であり、内容の事前確認がされないというケースもあるため、専門家の意図、専門知に基づくポイントが適切に反映されないこともしばしばありえます。日々の紙面づくりの中で、記者たちが時間に追われるあまり、「本人に原稿チェックをしてもらう」という文化が、新聞ではおろそかにされがちです。私自身、しばしば取材を受ける立場ということもあって、その点も、今後の課題としてもらいたいと思います。

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記事上では私の「意見」が引用・紹介されていはいますが、いくつかの具体的提案に対しては応えられてはいません。委員には、これらの提案を強制する権限は与えられていませんが、今後も議論を通じて、より「開かれた」対応を行うよう求めていきたいと思います。

相模原障害者施設殺傷事件をめぐる報道について

相模原障害者殺傷事件を受け、厚労省が再発防止のための検討チームを設けました。検討チームにはぜひ、冷静かつ有意義な議論を期待します。個人的雑感を兼ねて、7月29日の東京新聞「紙つぶて」に寄稿した原稿をアップします。



相模原でおきた障害者大量殺傷事件。とても恐ろしい事件です。背景には謎も多く残りますが、報道に触れる際には、注意しなくてはならないことがあります。
今回の容疑者は、「障害者なんていなくなればいい」と語っていたと報じられています。こうした発言は、典型的な優生思想に分類されます。優生思想とは、命を選別し、「劣った」とみなされた命は淘汰して構わないとする考え方です。容疑者がどうしてこうした差別意識に「感染」したのか。差別的言説に「感染」しやすい環境がなかったか。問い直す必要があります。
こうした事件が起きると、容疑者の心理状態や過去の略歴などに焦点が当たりがちです。なかでも、容疑者が特定の疾病を患っていたこと、措置入院の経験があることに注目が集まっています。福祉の議論は重要ですが、現段階で安易に疾病等と結びつけるべきではありません。特に、「なぜそんな危険人物を野放しにしたのか」といったような反応は危険です。そうしたことを口にした段階で、特定の疾患を持つ人は、あらかじめ隔離すべきという優生思想を肯定することになるからです。
容疑者の声明文を淡々と紹介する報道にも違和感があります。言うなれば、悪質なプロパガンダを注釈なく放送し続けるようなものだからです。間違ってもセンセーショナルに取り上げるべきではありません。その声明に誤って賛同する人がでないよう、丁寧な批判を加えることが不可欠です。冷静な報道を求めます。
7月29日の東京新聞「紙つぶて」より


以下、補足です。


まず前提として、今回のような事件は、戦後犯罪史のなかでもかなり特異なケースです。他方、この事件および事件についての語りが、結果として浮き彫りにした課題もあります。そうした中、犯罪報道の多くは、「その段階で分かっている材料」のうち、それらしいテーマをピックアップして、「原因探し」をします。今回はその結果として、「措置入院」等がクローズアップされることになりました。その論点化がまったく無意味だとは言いません。ですが、その集中報道の結果として、「精神疾患=危険」というイメージを拡散することになっているように思えます。


かつて、池田小学校児童殺傷事件の際にも、特定の疾患と結びつける報道が行われたことで、多くの当事者が報道に傷ついたという調査結果(PDF)もあります。今回も、報道をみた当事者が、恐怖を覚えたり、自尊心を傷つけるようなことがないよう、報道の際には注意が必要な事件です。にもかかわらず、そのような声は、今回の報道にあまり生かされていないように思います。一例として産経新聞は、社説において、池田小事件と結びつけ、措置入院の見直しを強調しました。ここまで露骨でなくとも、類似構図の報道は他メディアでもみられました。報道面の課題も、もっと議論されてほしいと思います。


この事件についてはラジオでも大きく取り上げました。シノドスにも、NPO日本自立生活センター自立支援事業所の渡邉琢さんにご寄稿いただきました。長文ですが力作ですので、ぜひご高覧ください。

「亡くなられた方々は、なぜ地域社会で生きることができなかったのか?――相模原障害者殺傷事件における社会の責任と課題」
http://synodos.jp/welfare/17696


また、EテレハートネットTVはウェブサイト上で、各当事者団体の声明を紹介しています。多くの団体が、報道機関への要望を記していることの重みをしっかりと受け止める必要があります。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/249882.html

熊本地震に関する流言等のまとめ・その3

熊本地震に関する流言のまとめ、簡易版熊本地震に関する流言のまとめ・その2の続きです。

  • 画像付き犯罪流言

他県ナンバーで白 軽トラ
解体した家から沢山の物を窃盗しています!
携帯ではなくiPodで撮ったため画質が悪いです(T_T)
許せません!拡散して下さい!
場所は熊本 益城町です。


なぜ警察に通報するのではなく「拡散して下さい」なのか。それに応じて拡散してしまう人が大勢いるのか。多くの疑問を抱くべきツイートです。ここで紹介されている画像は、全く異なる時期の動画のキャプチャでした。なお、元の動画でさえ、それが「窃盗」であるかどうかの裏は取れていません。別動画からあえてキャプチャをとることから、意図的な流言化であると思われます。

  • 熊本県災害情報」を名乗る悪質デマアカウント

【悪質】「熊/本/県/災/害/情/報」を名乗るデマアカウントがデマ垂れ流し中。潰すべし!(スパブロ手順添付有り)
大津波警報が発令されている」といった流言の他、「先ほど入った情報によりますと北朝鮮からミサイルが発射された模様です」「中国人が略奪を繰り返しているぞ!」といった投稿に加え、煽りや差別的言動を繰り返していました。現在はアカウントが凍結されています。

  • 地元で拡散された流言

4月27日の読売新聞朝刊では、地元で拡散された流言として、「2時間以内に大きな地震がまた来る」「国道の代替ルートが開通した」「某物資集積場に行けば何でももらい放題」といった内容のものが取り上げられていました。発災時、地域によって拡散される流言の種類が異なることは東日本大震災時でもそうでした。例えば佐賀新聞は、「ネットのデマ拡散防止」という記事で、「佐賀でも震度7地震が起こる」という流言が拡散したことを取り上げていました。その地域の人々にとって、より重要なテーマの流言が拡散されるという現象は、東日本大震災でも確認された現象です(拙著『夜の経済学』参照)。今はその拡散に、SNSやメール、メッセンジャーアプリなどが利用されやすいという変化も加わっているわけです。

  • 「福島から熊本へ送られた畳が利用されていない」?

福島県畳工業組合が、多くの畳を支援物資として被災地に送ったというニュースがありました。このニュースについて、「福島から熊本に送られた畳が誰も利用していない」といった趣旨のツイートをする方が登場。それに対し、実際に使われていると証言する人が現れました。元ツイートは現在、読めなくなっています(別のまとめに対するはてなブックマークの反応)。


  • その他のtogetterで検証

中央構造線と活断層と川内原発:仰天地図を検証する
「震度を示す九州の地図から、鹿児島県だけを消し去って地震情報を伝えていた」と本気で思い込んだのなら潮時だ。言論人をやめたほうがよい。
川内原発の危険性を強調するための地図が拡散された件と、「川内原発の立地している地域の地震情報が隠されていた」と拡散されていた件のまとめです。



※5月17日 21:42 一部、追加取材のため記事内容を修正しました。