「時計詐欺」に出会った。

男「すみませぇん。すみませぇん」


ケータイいじりながら渋谷を歩いていたら、車に乗った二人組の男性の、助手席側の人に声をかけられた。


チキ「はい?」


振り向いてみるとそこには「頭よりは腕力に自信あっから、自分」系の人。道を尋ねられるのだろうかと思い、車に近づいた。


男「あのね、僕たちね、これから呑みに行くんだけど」


チキ「はい」


どうやら道に迷ったとかではないらしい。どこか一緒に遊びに行こうとかだろうか。合コンの面子たりないから一緒にいかないかとかだったら、どうしたものか。そんなことを考える。


男「さっきまで展示会の仕事してたのよ。でね、ここにね、一個商品が余ってるわけよ。時計なんだけど」


ほんとだ。なんか安っぽい箱がある。


男「これさ、計算ね、なんか数が合わないの」


計算を代わりにしてくれ、という依頼だろうか。


男「ほら、ここにあるリストとね、残ってる数が合わないわけ。一個あまっちゃってさ。まいっちゃってさ」


チキ「はあ」


男「で、これね、売れば十万円くらいする時計なんだけど、もってかえっても怒られるというか、あのね、これね」


といって一枚の名刺をちらっと見せる。夜だったのでよく見えなかったけど、「ワイズコーポレーション」と書いてある。宮台真司さんがやってた会社の名前に似ていたのですぐ覚えた。


男「ほら、ちゃんと登録している会社だからさ、こういうことバレると、免許取り上げられちゃうわけ」


チキ「へー」


何の免許だそれ。


男「で、僕たち二人で相談してさ、通りすがりの人にあげようってことになったわけ」


んなわけねー。うさんくせー。


男「どう?時計いらない?貰ってくれない」


まちがいねー。うさんくせー。


チキ「あー、いらないですねー」


男「なんで? 君の情報とか何も聞かないよ? 売ればお金にもなるんだよ?」


チキ「いや、別に欲しくないものを貰ってもしょうがないんで」


男「へー。君、変わってるねぇ」


チキ「そうかもしれませんねー。じゃ。」


とその場を離れつつ、その場で手にしていたケータイで「ワイズコーポレーション 時計」とかで検索してみると、最初にヒットしたのが「時計詐欺に引っかかりました」のサイト。

[1]ヌケサク1号 02/05/20 14:35 v.NrWsoO038
仕事で道を歩いていたら。車に乗った兄ちゃんに声をかけられました。
なんでも、時計の展示会かなんかで、ペアウォッチが余ってしまって
持って帰ると給料を減らされるから貰ってくれないか?
とかいう話でした。
俺は普段腕時計をしないし、ウサン臭い話やな。とも思ったのですが
まあ、話のネタにでもなれば、と思って話を聞いたのが運のツキでした。
飲み代として、いくらか寄付してくれ。
と言われて、たまたま手元に会社の金が20万円くらい。
全部万札だったのも不幸だったなあ、結局1万円渡しちゃいました。
帰ってきてみて、ネットで検索してみたら、数年前から同じ手口の詐欺が
あったみたいで、みごとに引っかかったことを悟りました。


[11]ヌケサク3号 02/12/19 0:15 8LAdSyqyXSOI
おいらもカモになってしまいました。
手口は1・2号さんと同様です。
場所は虎ノ門でペアウォッチとプラチナのネックレス(偽者)で
11,000も払ってしまいました。
時計の箱の中には「LIGUN」と書かれたプラスチックのカードが
入っていました。
くそっぉぉぉぉ


[19]勝負師 03/02/15 11:06 sSX7YXpcWU7w
やっぱり、詐欺でしたか。私もやられました、LIGONに.私は、四ッ谷駅近くの郵便局前で声をかけられました.その内容は、ヌケサク1号さんとほぼ一緒でした.違うことといえば、値段が40万円ということと、ワゴン車で
男三人組でした.私も胡散臭いとは思っていたのですが、初め一万五千ぐらいほしいといっていたのを、三千円までまけてくれたのとバッタモン臭さに惹かれて、ついつい買ってしまいました。気分的には、宝くじを買った気持ちで買ったのですが、
家に帰って、インターネットでLIGONというメーカーを調べると、はずれということが分かりました.多分この時計は、ドンキホーテで買うと、千円くらいかな?まあ、授業料と思ってあきらめます.俺もアホやな!でもこういうバッタモノにチャレンジしなくなることはないと思います.
そこで逃げるとなんか男が廃るような気がするんで.まあ、これからは、このことを話の種にして、三千円分元を取ろうと思います.
今回引っかかった御人好しの皆さんにこれからいいことがありますように!


時計詐欺」「時計あげる詐欺」「あげるあげる詐欺」とも呼ばれている模様。せっかくだから戻って話を聞きに行こうかと迷ったけれど、待ち合わせがあったので断念。手口としては、「LIGON」だの「LIGUN」だのという時計を受け取ったら、「その代わりに、呑み代としていくらかカンパしてくれ」と要求されるという流れが共通しているらしい。「カンパ」として払わせるという体裁であっても、普通に詐欺だ。


ナンバーや車のタイプ、出没地域、二人組の人相などがまちまちなことを考えると、同一の手口はあちこちで行われている模様。昔からある古典的な手口のようだけれども、検索をした限りでもひっかかって悔しがっている人が多数おり、1万前後を払ってしまった人が多いので、多少稼ぐことは出来るかもしれない。けれど、効率は悪そうだなぁ。他の詐欺とかと掛け持ちして、組織的に動けば、結構な額になるのかもしれないけれども。


ちなみに、竹熊健太郎さんや山田真哉さんも遭遇しことがあるらしい。竹熊さんブログをつらつら読んでいると、コメント欄の「イーヨ」さんの「寿司詐欺」に驚いた。

いつも楽しく読ませていただいてます。
私は今年、バイト先で寿司サギに遇いました。
なんでも、「さっきそこに配達に行ったんですが、注文を3人前を30人前と間違えてしまって・・・とても困ってるんです。普段は1000円なんですが、500円で結構ですのでどうか買っていただけませんか?」と。
みんなうれしがっちゃって、買うわ買うわ。
包装もちゃんと折詰で、なんの疑いもなし。
さっ食べようと開封したら、なんとカッパ巻きだらけ!
それもキュウリの尻尾ばかりですよ!
いやあ、私は大爆笑!素直に負けを認めました。
完敗でしたね。後で調べたら古典的な伝統ある詐欺の手口みたいでした。サバイヴ感あふれる経験でしたので、
これは結構後味は悪くなかったです。
投稿 イーヨ | 2005年8月14日 (日) 15時43分


キュウリの尻尾だけのカッパ巻を大量に作るほうが大変のような気もする。


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