【御嶽山噴火】「日本のマスコミは自衛隊の活躍する写真を(極力)報道しない」というメディア批判流言

御嶽山の噴火に関する報道を受けて、「日本のマスコミが自衛隊の活躍する写真を報じない」「海外の方が写真をちゃんと報じている」といった主張がtwitterの一部でみられた。まとめサイト「保守速報」が、「【御嶽山】日本のマスコミが極力報道しない、自衛隊やレスキュー隊の活躍を海外メディアが報道(魚拓)」というタイトルのエントリをアップしたことも大きく影響している。


この主張については、既に多くのTwitterユーザらが反論・批判している。例えば、「同様の写真は日本メディアが掲載している」「海外メディアが掲載している写真も、通信社などが提供したもの」といった指摘がなされている。


というわけで、この主張はすでに落ち着いているように思えるが、以下備忘録的に。とりあえず、2014年9月27日から30日までの各紙を並べてみる。(さくさく撮影したので、ところどころブレているのはご容赦を)


読売新聞:一面トップだけでなく、紙面内の特集面でも自衛隊活動を取り扱っている。


朝日新聞:一面トップ、および社会面で自衛隊らが捜索している写真を掲載している。


毎日新聞:連日のトップに掲載。社会面にも大きく掲載している。


日本経済新聞:他紙と比べて写真は小さいものの、連日掲載している。


産経新聞:一面トップのほか、写真特集内にも大きく掲載している。


東京新聞:こちらも同様。一面トップ、写真特集などに登場。


ご覧のとおり、各紙とも自衛隊らの活動する写真を大きく掲載していることが分かる。御嶽山は、2014年9月27日11時53分に噴火している。この日は土曜日であり、その日の夕刊で各紙が報道している。翌日28日は日曜日のため、朝刊では、噴火の写真や被災した方々の模様が中心に取り上げられているが、夕刊はお休み。そして29日の朝刊では、多くの新聞が一面トップで、前日28日の自衛隊らの救助活動の写真を大きく掲載している。もしかしたら、27日、28日の紙面の印象で、「自衛隊の写真がないな」と思った方も一部いるかもしれない。但し、29日朝刊では大きく取り上げており、テレビでも各社が現場の様子を伝えている。


「日本のメディアが報じていない」という主張をする人は、各紙が本当に報じているか否かを確認せずにそう述べている場合が多い。「広島土砂災害時にウェブ上で発生した流言について思うこと」でも取り上げたように、広島の土砂災害時にも、メディア批判流言が登場した。災害時、ネット上ではメディア批判流言が発生しやすいように思えるので、普段以上に注意したほうがいいかもしれない。メディアを十把一絡げにしたうえで、メディア全体をざっくり批判するような口調には、特に注意が必要だと思う。


ところで、「daily mail online」など、写真を大きく掲載している海外メディアがあり、見やすくてインパクトがあると評価しているネットユーザも多い。こうした写真特集にニーズがあるのも確かだろう。


但し、いくつかの日本メディアも、ウェブサイト上で写真特集を掲載している。例えば毎日新聞は、曜日別に、写真特集を掲載している。


毎日新聞
9月28日
http://mainichi.jp/graph/2014/09/28/20140928k0000e040175000c/001.html
9月29日
http://mainichi.jp/graph/2014/09/30/20140930k0000m040038000c/001.html
9月30日
http://mainichi.jp/graph/2014/09/30/20140930ddm001040203000c/001.html
10月1日
http://mainichi.jp/graph/2014/10/01/20141001k0000e040223000c/001.html


朝日新聞では、「御嶽山に関するトピックス」というページがあり、動画付記事へのリンクをたどることができる。加えて、時系列タイムラインページを見ると、写真付き記事も多く掲載されていることがわかる。なお、写真が見やすく一覧できるサイトが評価されるのはいいが、当然のことながら、海外より日本メディアの方が報道の割合が大きく、情報も細かい。写真の掲載の仕方をどう工夫すればいいかといった議論はもちろん重要だが、その一点だけで、「日本のマスコミ」をざっくり批判するのは不当だろう。それも、不確かな流言をまじえて。