東北地方太平洋沖地震(東日本巨大地震)、ネット上でのデマまとめ その5

このエントリーは、下記エントリーの続編です。


東北地方太平洋沖地震、ネット上でのデマまとめ
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110312/p1


東北地方太平洋沖地震東日本巨大地震)、ネット上でのデマまとめ その2
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110314/p1


東北地方太平洋沖地震東日本巨大地震)、ネット上でのデマまとめ その3
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110316/p2


東北地方太平洋沖地震東日本巨大地震)、ネット上でのデマまとめ その4
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110319/p1


未読の方は、そちらを先にご覧いただけると幸いです。




-節電したのに先月と同額請求?
「せっかく節電したのに、先月と同額請求という請求書がきた。おかしいのでは?」との指摘があります。



「ふざけんなしwwwwwwwwwww節電意味ナスwwwwwwwwwwww」
http://2r.ldblog.jp/archives/4344449.html
http://twitpic.com/4c1buz


これを受けて、「潰れろ」「ひどい」という反応も見かけられます。ただし、上記URLのコメント欄でも指摘されていますが、東京電力は次のように説明しています。

平成23年3月18日
東北地方太平洋沖地震の影響による検針の中止と「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」のお届け遅延について
福島第一原子力発電所における事故、および、放射性物質の漏えいにより、発電所の周辺地域の皆さまをはじめ、県民の皆さま、さらに広く社会の皆さまに大変なご心配とご迷惑をおかけし、心より深くお詫び申し上げます。
また、当社は、平成23年3月14日(月)以降、電力需給逼迫による計画停電を実施させていただいておりますが、お客さまをはじめ広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけし、誠に申し訳ございません。節電にご協力いただき誠にありがとうございます。
東北地方太平洋沖地震の影響による公共交通機関の乱れや道路交通事情の悪化などにより、平成23年3月14日(月)から3月16日(水)の間、検針にお伺いすることを中止させていただきました。
誠に勝手ながら、該当するお客さまの平成23年3月分の電気料金については、前月の平成23年2月分のご使用量と同一としてご請求させていただき、差額は次回の検針値によりご精算させていただきます。
また、検針を中止させていただいたお客さまへの電気ご使用量のお知らせ(検針票)のお届けが遅延しております。順次、郵送の手配を進めておりますので、何卒ご理解いただきますようお願い申しあげます。
なお、平成23年3月17日(木)より検針を再開させていただいておりますが、一部のお客さまについては、検針にお伺いできない場合がございますので、あらためてご理解いただきますようお願い申しあげます。
以上
http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/attention01-j.html


後ほど精算するので慌てないでくれ、という趣旨のコメントです。ただこの件については、「東電のアナウンス不足では?」という指摘もありますし、差額計算や引越し時の引継ぎが適切に対処されるのかどうかといった不安の声もありますので、さらなるアナウンスも期待したいところではあります。なお、同様の方法は、水道局などでもとられることもあり、「東電」だけの問題でないことを知っておく必要はあるかと思います。


一例

・雪のため、水道メーターの検針できないときは、前月の使用実績水量で推定とし、雪消え後の検針により過不足を精算させていただきますのでよろしくお願いします。
http://www.town.tagami.niigata.jp/info/tiiki/suidou.html


なお、東電については、次のようなデータもあります。


電力の使用状況グラフ(当社サービスエリア内)
http://www.tepco.co.jp/forecast/index-j.html


-避難した被災地の子どもには教科書が配布されない?
次のような書き込みが拡散していました。

娘の学校に福島原発から避難してきた子が転校してきた。でも、新学期になってもその子には、教科書が配布されないとのこと。理由は「転校ではなく、避難だから」。担任曰く、教科書を配布してはいけないことが、日本の法律で定められているとか。ホントかいな。さすがの先生たちも首をかしげているぞ。


「ホントかいな」が取れて、事実として受け取った人も多くいるようです。実際、次のような法律はあります。

(教科用図書の給与)
第5条 義務教育諸学校の設置者は、第3条の規定により国から無償で給付された教科用図書を、それぞれ当該学校の校長を通じて児童又は生徒に給与するものとする。
2 学年の中途において転学した児童又は生徒については、その転学後において使用する教科用図書は、前項の規定にかかわらず、文部科学省令で定める場合を除き、給与しないものとする。
http://www.houko.com/00/01/S38/182.HTM


注意すべき点は、この法が今回のようなケースでも適応されるのかという議論もありますが、この法においても、文科省の省令があった場合は別であることが記されている点であるかと思います。これについては、既に文科省の通知がでています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震における被災地域の児童生徒等の就学機会の確保等について(通知)
2.義務教育段階における教科書の取扱いについて
被災した義務教育諸学校の児童生徒が転入学した場合には,通常の転入学の場合と同様に,平成22年度用教科書を無償給与することができること。
なお,転入学前の学校で給与された教科書を滅失・棄損している場合には,当該教科書分を併せて無償給与して差し支えないこと。
また,この場合には教科用図書給与証明書がなくとも,必要な教科書の無償給与を受けることができるものとすること。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/03/1303644_1537.html


通常通り給与する、もし被災でなくしたりしていても給与する、とのことです。「教科書を配布してはいけないことが、日本の法律で定められている」というのは、「文部科学省令で定める場合を除き、給与しないものとする」の前半部分の欠けた部分的な情報であり、頑固な法律により対応が不可能、という状況でないようです。


-16年前、神田うのが、阪神淡路大震災の時の被害で死亡した人達の人数を賭けていた?
この流言自体は、10年近く前からよく聞かれたものでした。今回の震災で、再び同様のコピペが見られるようになりました。典型的なものは、次のようなものです。

阪神大震災関連発言
神田うの(東京人)
「7000人死ぬって予想してたのに全然たんなくてー。死んだ人たちよりうのの方がかわいそー」


この他、過去には、様々な「目撃」証言があります。

阪神淡路大震災から1年位経った頃、某番組の中で『頑張る人を応援しよう』みたいなコーナーがあって、
開業間近に建物が潰れた診療所やお店が潰れた商店主の人達、
実際に身内が被災して亡くなった関西出身のタレントもゲストで出ていて、
その心境を語っていたのに、急に笑い出して、
「死んだ人、6000人だっけ?”私、友達数人と賭けていた”のぉ〜。」なんて言い出した。
司会者がマジで驚いて
「え、なんの話ししてるの? 今は震災の話しだよ!」ってたしなめたら
「だから〜、震災の話しじゃん。”7000人死ぬ方に賭けていたのに死ななくて”、
うの、負けちゃったんだよ。
診療所つぶれちゃったお医者さんよりも、”うののほうが可哀相”〜!」って。
司会者も関西出身のタレントも「無言」だった。

私の記憶では、たしかは阪神淡路大震災から1年後か2年後くらいに放送した番組で、倒壊した診療所の医者など、被災した人たちが復旧に向けて頑張っている様子を放送していました。
その映像のあと、スタジオのゲストだった神田うのが、急にケラケラと笑い出して、「死んだ人って6000人だっけ?私、友達数人と何人死んだか賭けてたの〜」と言い出しました。
そして司会者が驚いて「何を言っているの?今は震災の話をしているんだよ!」と言ったところ、神田うのは「だ〜か〜ら〜震災の話じゃん。7000人死ぬって賭けてたのに6000人しか死ななくて、うの負けちゃったんだよ。 診療所つぶれちゃったお医者さんよりも、うのの方がかわいそう〜」と言って、またケラケラと笑っていました。

関西ローカルの番組で神田うのさんが、「私は7000人死ぬ方にかけていたのに、6000人しか死ななかったんだよ、かわいそーなのは私だよ」見たいなことを言っていたのを見た事があります。本当の話です。

某メジャー女性誌にうのさんのインタビューが掲載されており、似たような発言をされていたのを確かに拝見したことがあります。
「賭けに負けたうのの方が可哀想…」の件はありませんでした。
でも友達と何人の方がなくなるか、賭けをしたとハッキリと仰っていました。
良識のなさに体が怒りで震えるほどでした。
賭けをした後、うのさんのご友人が被害に遭っていたことを知り、自分の愚かさに気が付いたと、インタビューでは仰っていましたが…
それにしても人格を疑う発言でした。

テレビで神田うの阪神大震災で死人が五千人超えるかを賭けていたことを発言した事があるのをみなさん知ってますか?金で事実を揉み消したそうですが…

某TV番組で他の人達が死者を追悼してるのに、神田うのが突然に「うのの方が可哀想なんだよー。だって、友達と賭けをしてたけどうのは7,000人以上死ぬに賭けたけど負けちゃったんだもん」とか生放送で発言したらしい。廃刊になった「UNO」にもこの事は載ってたらしい。私もネタだと思ってたけどソースがハッキリしてるから本当の話だと思うよ。


「関西ローカルの番組」「某TV番組」「某雑誌」「某メジャー女性誌」「廃刊になった「UNO」に乗っていたらしい」と、目撃情報が曖昧で、なおかつソースがバラバラなのがまず気になります。また、それだけひどい発言なのに、なぜ当時話題にならなかったのか、これだけ目撃者がいて、「頭に来た」と言っているのに、そのVTRや誌面が残っていないのかも気になります。「金で事実を揉み消した」って、いったい誰と誰にお金を払えば揉み消せるのかも分かりません。


さて、そんな本件についてはソース不明なので保留し続けるのが妥当であると思っておりましたが、神田うのさん本人が、ブログにこの件について書いたようです。

悲しすぎるネット被害(※改行省略)
皆様、本当はこういう事はブログでは書きたくありませんでしたが、この度、はっきりとさせて頂きたいことがあります。
これ以上の我慢も限界に達してしまいましたので書かせて頂きますね。(略)
インターネットは不特定多数の人が、自由な意見や情報の交換が可能な便利なツールですが、根も葉もない噂話や、作り話がさも本当の話のように、ネットを駆け回る恐ろしさも同時に兼ね備えています。今回、私がその被害に遭いインターネットの恐ろしさを、正に身を持って感じています。そして、同様の被害を受けている人達が、沢山おられるのではないかと・・・本当に残念に思います。
その被害とは、「16年前、神田うのが、阪神淡路大震災の時の被害で死亡した人達の人数を賭けていた」などと言う、想像しただけでも恐ろしい事実無根の酷い作り話しがネット上を駆け回っており、私のブログに寄せられるコメント等にも「こういう話をインターネット上で見つけましたが本当ですか?」という質問も届いています
このような話を半ば信じている方々も少数ながらいらっしゃる事自体にも、深い悲しみと共に凄いショックを受けました阪神淡路大震災の時もテレビで惨状を見て、「泣いてばかりではなく自分に何か出来る事を」と、今回の20分の1の額ではございましたが義援金として寄付もさせて頂きました。もしかしたら、「50万円・・・もっと出来たのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、当時19歳だった私にとっては、それが精一杯の気持ちでした。(略)
このブログにいらして下さっているほとんどの皆様は「悪意の作り話だ」とわかっていらっしゃると信じたいです。
このような悪意は「無視」すべきとも思い、これまでそうして参りましたが、「嘘」が「嘘」を呼び「本当ですか?」「〜本当なんですよ〜」「〜阪神淡路大震災被災者に謝罪しろ!」等今回の震災をきっかけにコメントもだんだんエスカレートしてきました
そして今回も、どうやら「うのはハワイに逃げた・・・」との嘘も流れているようですが・・・こちらにいらして下さっている皆様はご存じなように事実は大震災の前にハワイに行き、ハワイ島にて津波被災したのですがこの事実がどのように悪意に歪められてゆくのでしょうか・・・
「逃げたハワイの地で今度は旦那と死亡者の賭けをしていた」とでもなるのでしょうか・・・おぞましい心を持つ人間の存在を信じたくはないのですが残念ながらいると言わざるをえません・・・
私達日本全体で、被災者の方々と共に協力していかねばならない今、私の心に少しだけ休息をさせてエネルギーを補いたいと思います。そして自分に出来る何かを考え、一歩一歩前進しなくてはいけません・・・
今の思いを書かせて頂きました。皆様に幸多きことを願います。
http://ameblo.jp/unokanda/entry-10838041308.html


もちろん、神田うのさんが偽証している「可能性」を否定し切ることはできませんが、このエントリーがアップされたうえでも「その発言があった」と主張するためには、そう主張する側が立証する必要があります。「某テレビ番組」のVTRや、「某メジャー女性誌」のコピーといった、具体的なソースが出てくるまでは、この流言を信じないほうがいいでしょう。


追記
「具体的なソース」として、ウェブ上では次のようなものが出されています。




雑誌「UNO」(1997年11月号)の中のやりとり、というものです。ソース自体の検証がまた必要になりますが、雑誌の存在自体が確かな場合、「賭け」の部分については本人の発言で確認可能、ということになります。一方で、「うののほうがかわいそう」発言についてはなおもソース未確定となっています。


さて、ソース自体の検証ですが、僕の方でも『UNO』のバックナンバーを確認しました。白黒コピーが元なので恐縮ですが、ソースをアップしておきます。



神田うのさんが「賭けていた」と発言した、という点については、デマではなく事実を元にした情報ということになりました。テレビの目撃情報については、依然として「ソース待ち」の状態となります。


先に指摘したとおり、当事者が否定しても、その否定自体が誤っている可能性というのは常にあります。その場合は、例えば裁判の時のように、批判側に論証の責任が回ってくるので、「ソースが出るまでは保留」が妥当ということになります。それは、スマイリーキクチさんの騒動の時のように、「冤罪」による社会的制裁、私的制裁を避けるためにも、必要となる判断です。逆にこうしてソースが確認された場合、ソースに基づいた議論が十分に可能になりますし、一度明確に否定しただけに、さらなる詳細が気になってきます。


-放射性物質にはヒマワリが効く?
次のような記事が話題になっています。


ひまわり畑が放射能に汚染された土を浄化してくれるそうです #jishin
http://www.gizmodo.jp/2011/03/_jishin_26.html


ヒマワリが放射能汚染を20日で95%除去…露・植物学者が研究報告
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1609482.html


ひまわりプロジェクト
http://www.himawari-fukushima.com/




ただ、ニュースソースをみると、(1)16年前の研究報告を取りあげた、(2)数年前のバラエティ番組を、(3)ブログで紹介した記事、がソースになっています。これだけ又聞きの伝言ゲームが続いているなら、警戒することが普通であると思います。

1995年に米ラトガーズ大学のスラビック・デュシェンコフ博士ら旧ソ連出身の植物学者達が、チェルノブイリ原発から1キロ離れた池で20種類の植物を栽培し、ヒマワリ3 件がセシウム137を根に、ストロンチウム90を花に蓄積することをつきとめた、という研究報告がある(日本テレビ系(特命リサーチ 200Xより)。


しかし、こうした情報を元に、「みんなでヒマワリを植えに行こう」といったような呼びかけさえおこなわれています。僕には専門的な判断はできませんが、元の報告を調べてみないで、孫引きの記事だけでトリビア的に鵜呑みにし、行動することが危険である、ということは言えるはずです。発表されたことが事実であったとしても、それ以降の研究も多くあるはずですから、研究成果が直ちに活用できるものかどうかの慎重な検証が必要になるでしょう。


そして仮に、これが確かな手段であれば、専門家らによるしかるべき措置として採用されるのではないでしょうか。いずれにせよ、特定の報告(を報じたバラエティ番組経由で書かれたブログ記事)だけを元に、「奇跡の特効薬」であるかのように飛びつくのは控えたほうがよさそうです。まして、ネットでかじった情報を元に、専門家や行政に提案したり、社会運動化するというのは、あまり有意味ではない、というか危険であると思います。


この件については、次のような注意も呼びかけられています。

寒地土木研究所月報№646 2007年3月号解説「ファイトレメディエーション(植物を用いた地盤の浄化法)について」の補足について
平成23年(2011年)福島第一・第二原子力発電所事故に関連して、ファイトレメディエーション(地盤浄化)に関する当所の資料「解説 ファイトレメディエーション(植物を用いた地盤の浄化法)について(寒地土木研究所月報第646号)」を引用される方が増えております。このことに関して、資料の内容について補足を行いましたのでお知らせします。(…)
紹介した事例は、放射性物質を土壌中から吸収して植物体内に蓄積されるものであり、放射性物質を消滅させるものではありません。また、土壌の浄化には、植物の除去・運搬などの処理を行う必要があります。植物を植えたから問題が解決するというものではなく、その処理まで含めた対応が必要であることに御留意いただきますようお願いします。
http://www.ceri.go.jp/contents/news/20110322.html


また当然ながら、勝手に植物を植えに行くこともまた、様々に問題のある行為である行為です。一般の方が大挙して訪れて混乱させたり、健康を外してしまったり、間違った処置を行って事態を悪化させてしまう、ということは避けなくてはならないでしょう。百歩譲っても、「今すぐ素人の自分たちが植えにいかなくてはならない」という状況ではまったくありませんから、慌てて行動を訴えかけないほうがよいかと思います。


なお、単に種を植えるだけでなく、「その後燃やす」という情報を加えてしまっている人もいます。

JPHMA由井会長より被災地の会員へのメッセージ
○○さん、からのメッセージを受け取りました。
セシューム137は、3カ月から30年間続くこともあり、農地を被曝からきれいにするためには、対策としてひまわりなど、どんなところにでも生える強い植物を植えて吸い上げさせることです。
その時にRAのレメディーを畑にまくこと、そして、そのひまわりの種は食べないで、全草燃やし、灰にすることです。本当にこれからどうやって、農業をやって行けばいいか、農家にとってもそこに住む人にとっても苦しいことになりましたね。被曝を無にできるようなものを早く開発し、日本中をきれいに浄化したいです。
今回私が訪れる時に、無農薬で育てた洞爺のひまわりの種を量は少ないけれど持って行きましょう。
苦しみの中で、皆でそれを乗り越えた時、智恵に変わります。とりあえず、今は、ふて寝して、そしてある時、立ち上がれるようにしましょう。
こちらも心や体のサポートをしますので、一人でないこと私たちとつながっていることを心の片すみに置いてください。
日本ホメオパシー医学協会
会長 由井寅子
http://jphma.org/gienkatsudo/20110324_miyagi_01.html


どさくさにまぎれて「レメディー」が効くかのように書かれているのも問題ですが、安易な「知恵」を拡散してしまうこともまた危険です。なお、「レメディー」絡みで言えば、次のような情報を意図的に拡散しているようです。

3/21(月)「緊急!災害対策!ホメオパシー・レメディ活用法」が行われました
(…)災害時の不安や恐怖、PTSDの問題など心のケアのためのレメディー、そして、放射能の影響に対処するためのレメディーなども紹介していただきました。
特に放射線物質の排出を促すレメディーについては、体内に溜まった有害物質がレメディーをとることで体外へと排出されたことが検査結果によって数値で出たケースによって実証されました。(…)
●講義の感想
放射能の事が心配でしたが、レメディーで対処できる事が分かり安心しました。これからもっと色々な問題が出てくると思うけど自分に出来る事をまずはやっていって自分の家族の健康を守る事から始めて行こうと思います。被災地の方々への救援も正しい情報を見極めて出来る事を続けて行こうと思います。
●本日、元気にこうして講演会にでられ、大切な話を聞け、学べた事に感謝しております。日本人1人1人、全ての人がこの地震津波そして原発の不安をかかえており、早くレメディの恩恵が行き届けばと思ってやみません。私も今何ができるのか、よく考えて家族をはじめ、まわりの方々のケアーをできればと思っています。これを機に日本人も変わらなければと思います。このままではいけないと思います。ひまわりは土や放射能を浄化してくれると話してくださった由井学長。そのことを元に、娘の小学校にも植えられる様に提案できればと考えております。本日はありがとうございました。
●こういう時期に災害対策の講演を聴かせていただき、ありがとうございます。災害にあわれた多くの方々が、一人でも多くホメオパシーで救われる事を願います。ホメオパシー放射能の害や、体や精神的なケアができるというのは、改めて素晴らしいと思いました。
●私はそんなに心配症ではないのですが、今日は本当に勇気をいただき、ありがとうございました。みんなで助け合うことの大切さを、改めて認識できました。寅子先生からかたく握手していただいて、パワーが出ました。このおぞましい放射性物質も、ホメオパシーレメディーで何のそのです!
●私は茨城出身で、友人が被災しています。茨城でも、家が津波でやられたり、放射能の危険があります。この機会に、思いきってホメオパシーを知らない友人たちにも、レメディーをすすめてみました。そして、多くの方々から、レメディーを送ってほしいという返事を頂き、茨城へ郵送しています。レメディーを作ってくださる社員の方々、提供してくださる会社、ショップの皆様、運んで下さる郵便局の方々にお礼を申し上げます。ありがとうございます。私にできることは、これからもレメディーを送り続けることです。
●宮崎先生の講演とても聞きやすかったです。由井先生の講演、福岡でも津波があるかもと思った時点で、恐れに飲み込まれるか、他の選択をするかを自分に問いました。離れて山の近くに住む母と一晩過ごす事にしました。私に出来る事目の前の人と家族と大事に過ごして行けるかを考えていこうと思いました。放射線科の看護婦として、放射線の回数を受けられる事がめでたい事だといい続けて働いていました。紙のレメディーは、新鮮でした。
●宮崎ホメオパス:「母乳育児を成功させるための10箇条」、ぜひオアシスに掲載してください! これはどんどん広めていくといいなと思いました。
とらこ先生:放射線対策について詳しく教えていただいてありがとうございました。ひまわりやセイタカアワダチソウ放射能などで汚染された土地を浄化してくれるのだということを知って、本当に驚いたし、植物はありがたいなぁと思いました。
●宮崎ホメオパス:「母乳育児を成功させるための10箇条」、ぜひオアシスに掲載してください! これはどんどん広めていくといいなと思いました。
とらこ先生:放射線対策について詳しく教えていただいてありがとうございました。ひまわりやセイタカアワダチソウ放射能などで汚染された土地を浄化してくれるのだということを知って、本当に驚いたし、植物はありがたいなぁと思いました。
http://www.homoeopathy.ac/10seminars_about/others/20110321.php


「おぞましい放射性物質も、ホメオパシーレメディーで何のその」といった情報が拡散することはさすがに看過できないものです。こうした情報によって、適切な治療を受ける機会を逸する人が出てはいけません。


【関連】
「ニコ生シノドス」第1回「ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方」
http://astand.asahi.com/magazine/wrscience/special/2010122800005.html


原発周辺の畑にレメディとヒマワリの種とデマを撒き散らそうとするホメオパシー関係者
http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20110326/p1



-朝日新聞が被災地で広がるデマを報じる
次のような記事があり、興味深く読みました(記事そのものに全て同意するものではありません、念為)。

「外国人窃盗団」「雨当たれば被曝」被災地、広がるデマ
東日本大震災の被災地で、流言が飛び交っている。「外国人の窃盗団がいる」「電気が10年来ない」……。根拠のないうわさは、口コミに加え、携帯メールでも広がる。宮城県警は25日、避難所でチラシを配り、冷静な対応を呼び掛けた。
「暴動が起きているといったあらぬうわさが飛び交っています。惑わされないよう気を付けて下さい」
宮城県警の竹内直人本部長は、この日、避難所となっている仙台市宮城野区の岡田小学校を訪れ、被災者に注意を呼びかけた。チラシを受け取った女性(43)は「犯罪はうわさほどではなかったんですね」と安心した様子を見せた。県警によると、110番通報は1日500〜1千件程度あるが、目撃者の思い違いも少なくないという。
しかし、被災地では数々のうわさが飛び交っている。「レイプが多発している」「外国人の窃盗団がいる」。仙台市の避難所に支援に来ていた男性(35)は、知人や妻から聞いた。真偽はわからないが、夜の活動はやめ、物資を寝袋に包んで警戒している。「港に来ていた外国人が残っていて悪さをするらしい」。仙台市のタクシー運転手はおびえた表情をみせた。
流言は「治安悪化」だけではない。「仮設住宅が近くに造られず、置き去りにされる」「電気の復旧は10年後らしい」。震災から1週間後、ライフラインが途絶えて孤立していた石巻市雄勝町では、復興をめぐる根拠のない情報に被災者が不安を募らせた。「もう雄勝では暮らせない」と町を出る人が出始め、14日に2800人いた避難者は19日に1761人に減った。
健康にかかわる情報も避難者の心を揺さぶる。石巻市の避難所にいる女性3人には18日夜、同じ内容のメールが届いた。福島原発の事故にふれ、「明日もし雨が降ったら絶対雨に当たるな。確実に被曝(ひばく)するから」「政府は混乱を避けまだ公表していないそうです」と記されていた。女性の1人は「避難所のみんなが心配しています」という。
過去の震災では、1923年の関東大震災で「朝鮮人が暴動を起こす」とのデマが流れ、多数の朝鮮人が虐殺された。95年の阪神大震災では、大地震の再発や仮設住宅の入居者選定をめぐる流言が広がった。
今回はネットでも情報が拡散する。「暴動は既に起きています。家も服も食べ物も水も電気もガスも無いから」「二、三件強盗殺人があったと聞いた」。こうした記載がある一方で「窃盗はあるけど、そこまで治安は悪くない」「全部伝聞で当事者を特定する書き込みはない」と注意を促す書き込みもある。
東京女子大学の広瀬弘忠教授(災害・リスク心理学)は「被災地で厳しい状況に置かれており、普段から抱いている不安や恐怖が流言として表れている。メールやインターネットの普及で流言が広域に拡大するようになった。行政は一つ一つの事実を伝えることが大切で、個人は情報の発信元を確かめ、不確実な情報を他人に流さないことが必要だ」と指摘する。(南出拓平、平井良和)
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY201103250527_01.html


宮崎県警から配られたチラシはまだ入手できていませんが、同県警からは3月22日、次のようなファイルが公開されています。

被災後10日間の治安状況について
今回の震災による犠牲者の方々のご冥福を深くお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災翌日から起算して10日が経過しましたので、この機会に治安状況について簡単にご報告申し上げますとともに、引き続き、警察活動に対し、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
犯罪 の 発 生 ・ 検 挙 状況 (注:3月12-21日 の10日間。カッコ内は前年同期との比較)
○ 出店荒ら し 、空き巣、ガソリン抜き取り事案等、災害便乗犯罪が散見される。重要犯罪は4件( -3件)と少ない(放火未遂と焼身自殺各1件、強制わいせつ2件) 。
* 出店荒らし39件(+26件)、空き巣26件(-10件):目撃者の思い違いも多い
* ガソリン抜き取り16件の被害届を受理(注:110番は64件、思い違いも多い)
* 特異事案:倒壊したATMからの窃盗2件(うち1件は未遂、他の1件は検挙)
○ 窃盗犯検挙状況: 19件( ATMからの窃盗1件を含む)
110番受理件数は10日間合計11,160件( 1,116件/日) と 、平常の約2.6倍。
給油所における客同士のト ラブル等はあるが、重大事案には至っていない。
【※PDF注意】http://www.police.pref.miyagi.jp/hp/jishin/honbutyou.pdf


治安を守るために普段以上に注意する必要はありますが、流言が拡散して不安ばかりが広がることにも注意が必要です。


-辻元清美事務所がコピペ拡散対応のエントリーをアップ
既出エントリーでとりあげたものの続報です。次のようなエントリーです。

辻元清美に関するデマについて
辻元清美について以下のようなデマが流れていますが、すべてそのような事実はありません。
(1)阪神大震災のときに、辻元清美が「自衛隊違憲です。自衛隊から食料を受け取らないでください」と書いたビラをまいた。
(2)カンボジアでの自衛隊活動を視察した際に、辻元清美自衛官に対し「あんた! そこ(胸ポケット)にコンドーム持っているでしょう」という言葉をぶつけた。
(3)今回の震災で、辻元清美が「事前協議なしの着陸は安全を無視した行為」と米軍の救援活動に抗議した。
(4)今回の震災で、辻元清美が「重機で十分。災害出動に戦車不要」と原発内の瓦礫除去に戦車投入に反対した。
こうしたデマに接したとき何より辛い思いをされるのは、被災者のみなさんや、自衛隊員のみなさん、家族の方々だと考えます。
どうかこうしたデマに惑わされることのないようお願い申し上げます。
またデマが拡散した背景には、一部報道機関(産経新聞3月16日、産経新聞3月21日)が事実を検証することなく紙面に掲載したことも関連しています。
この非常時に公器としての報道機関がデマを拡散させたことに、厳重に抗議いたします。
http://www.kiyomi.gr.jp/news/2011/03/23-2132.html

-辻元清美ピースボートが物流を止めている?
次のような書き込みが増えてきました。

さて、辻元閣下のピースボートだが、今東京から順次ボランティアを送り出し始めている。そのボランティアの目的地がなんと、ピンポイントで件の集積場とぴったり重なっている。 以上の情報から総合的に判断すれば、この物資の停滞はピースボートを現地の救世主に仕立てるための自作自演劇だと言うことが分かる。

ピースボートが救援物資を横取り
リーダーは辻本清美である。彼女と手下であるピースボート
皆の善意の救援物資を足止めさせ、箱の中身を仕分けし、売れそうな物を
集め、残りを指定地域以外には運ばせないよう、トラック運転手に強要している。
ボランティア大臣と言う公的立場の悪用だ。
各運送会社へもFAXで指示しており、会社側は激怒していると言う。
こんなヤツら絶対許すな!
辻本清美以下、ピースボートは左翼組織である。
各政党、各有識者へ急ぎ拡散願う! これは殺人も伴った犯罪行為だ。(…)
救援物資が届いてない避難場所ではお年寄りが多数亡くなっている。
みな栄養失調の餓死だ。幼児も含まれている。ある場所では灯油が来ない為に
凍死もしている。 彼女と彼らはそんな事はどうでもいいのだろう。
救援物資は届けられた場所には山済みされており、そこで足止めさせている。
ピースボートの派遣先は全てその場所に指定しており、彼らがネットオークションなどで
売れる物とそうでない物とを仕分けし、残った物資を避難場所へ運び込む事で
救世主を演じると言うわけだ。
(以下、ピースボート辻元清美連絡先)

[拡散希望]ボランティア大臣の辻元清美が代表の団体「ピースボート」が被災地への救援物資を足止めしている

ピースボートの物流阻害はデマでは無かった!梅沢富男氏ミヤネ屋で暴露出身地福島を思い怒りの発言!

救援物資が福島でピースボートによってせき止められているという話を聞いた。辻元氏の仕業?という噂。本当だとしたら許せない…(怒)


しかし、そのもととなっている個人ブログなどの書き込みを読むと、情報源の書き込みが非常に曖昧です。

辻元清美らの悪行!裏がとれたぞ!
(…)たった今入った情報は現場に居合わせたと見られる人物もしくは当事者と交友のある人物からの投稿だ。非常にリアリティがあり、つじつまがあう。

(物流関係の中堅クラス、アングラな世界にも詳しい人物←ママ)
妨害は聞いていない。しかし現場はカオスだと報告をうけている
そして壮絶なマネーゲームが展開されているらしい
報告では地方ヤクザ、土建屋、市民団体が利権争いを繰り広げているらしい


また、元ネタとなっている「あ〜るさんの日記より」についても、曖昧な記述が多く並んでいるため、そのまま鵜呑みにすることは難しいレベルです。不確かな「書き込み」や「証言」だけでは、「裏がとれた」ことにはなりません。しかし、「本当なら許せない!」「辻元もピースボートも原子炉に投込みたい」といった反応が多く見られます。これらの拡散について、ピースボート関係者らが次のように否定しています。

最近、ピースボートに関するデマが流れています。「物資横流し」「物資を意図的に停滞させる」などの情報は全て事実ではありません。これらのデマによって、被災地にいらっしゃる被災者の方々やボランティアの方々にいらぬ混乱を招きかねません。このようなデマに惑わされぬようお願いいたします。
http://twitter.com/#!/PB_saigai/status/53298406034128896

「福島で物資のトラックを停滞させた」や「福島で物流阻害」などのツイートもありますが、そもそもピースボートでの被災地支援は今回、宮城県石巻市です。福島には入っていません。被災地に迷惑がかかりますので、デマを広めないで。
http://twitter.com/#!/soi_oh/status/53372867399786496


念のため、本件についてピースボート事務所スタッフの方に(メール連絡の後に)電話取材を行ったところ、「ピースボートは現在、石巻市だけで活動している」「そうした事実はなくて困っている」という返事が返ってきました。「電話、メール、訪問者などが来て、対応に時間がとられてしまっている」「現地で活動しているスタッフもツイッターなどは見ており、活動に影響がでないか心配している」とのことでした。


ピースボートの、<デマ>という発言こそがデマ」という主張も、もちろん可能ではあります。しかしその場合は、「抗議の電話」などのアクションを行う前に、たしかな立証を行う責任が批判者側に生じます。「疑惑」についての問い合わせであっても、様々な作業を中断させることになるので、ひとまずは「不確かな情報だけを元にアクションを起こすことは賢明ではない」と考え、保留しておくのがよいでしょう。


追記
別のピースボート関係者の方も事実を否定しつつ、内情を解説するまとめを書いていました。


http://togetter.com/li/118382


また、「ピースボートの物流阻害はデマでは無かった!梅沢富男氏ミヤネ屋で暴露出身地福島を思い怒りの発言!」というコピペについても、梅沢富男氏本人がブログで否定しました。

今日の僕のミヤネ屋での発言にコメントをたくさんいただきました。
賛否両論あるとおもいます
もちろん現場で自分たちも被災しながら頑張っている方たちが大変な思いをして
目いっぱいだということも見てきましたし、
現場に入って被災地のために働いている政治家の方もいます。
実際に僕がいわきに行こうと思ったのは、
ある現地で活動している政治家のからお話を聞いたからです。
ただ、いかんせんそういう政治家の方が少ないんです。
それがいつの間にかツイッターの世界では僕が
訴えたこととは違うことがどんどんりツイートされているようで驚きました。

これでは訴えた意味がありません。
僕は誰かが故意に物流を止めているとは一言も言っていません
よく考えてみてください。今、この日本の状況で故意に荷物を止めようなんて
思う人間がいること自体殺人行為です。
絶対許せることじゃありません
どこかの政党が物資を止めている。
どこかの団体が流通を止めている
そんな事実ありえないでしょう。
もし本当にそんなことがあるとわかったら
僕は誰に止められても実名を出して訴え続けます

僕が言いたかったのは先日のブログでもお話しした通り
必要なところに必要なものが届いていないという現実。
きちんと機能していないということを僕なりに一生懸命訴えました
現場の人間に必要な権限を渡せないのであれば
うまく物事が進むように
権限を持つ人間が現場に行ってほしいと。
それを事実を捻じ曲げてツイートを拡散されてしまっては、
僕が意を決してなんとかしてほしいとテレビで訴えた意味がありません。
ただ、当たり障りのないことを言って何時間かのテレビの収録を乗り切ればすむことです。
どうか、拡散している皆様も、きちんと事実関係を確認してから拡散してください。
これこそが風評被害をおこしかねません。
http://ameblo.jp/umeza-watomio/entry-10847094823.html


さらに補足として、女優の水野美紀さんが、石巻ピースボートの活動を手伝い、その活動の様子をレポしています。
http://mizunomiki.at.webry.info/201104/article_1.html




-デマ検証サイト追加

デマ (東日本大地震
http://tinyurl.com/4lavzlj



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http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110404/p1