『12歳からのインターネット』が発売されます

6月10日、ミシマ社さんより、拙著『12歳からのインターネット』が発売されます!


12歳からのインターネット

12歳からのインターネット


『12歳からのインターネット』は、おそらくこのブログを読んでいる人にとっては、「当たり前」のことしか書かれていない本です。でもその「当たり前」のことが書かれた本が、これまで意外とありませんでした。「クリックの仕方」「キャプチャーの仕方」的な、操作や技術に関する解説書。あるいは「ネット詐欺に気をつけよう」「ブログは作ってはいけない」的な説教本。そういう本はやまほどあれど、ケータイを持ちはじめたり、ネットをはじめる時には必ず気になるようなこと、つまり、「どんなメルアドにしようか」「面倒なあいつにメルアド教えたくない」「裏サイトでガス抜きしたい」「気になるあの子をネカマか見破りたい」「エロサイトの架空請求こえー」、そういう些細でありながら切実な問題について、12歳の子どもでも読める本はありませんでした。


先日発売の『InterCommunication』最終号に、「可能なるネットリテラシー」というコラムを載せました。ネットやケータイが万人のものになった現在、CMの文句にあるように「カンタン」で「安全」な「サービス」であることが求められています。そのような現在では、従来の「リテラシー論」のような「ムズカシイ」ものではなく、「可能なるネットリテラシー」を提案することで、サイバースペースの「先住民」が「移民」を受け入れていかなくてはならない……そういったことを書きました。


その趣旨は、ケータイやネットが「チュートリアル機能を埋め込んだ自生的システム」に向かっていくということへの「希望」を示すためのもの。「チュートリアル機能を埋め込んだ自生的システム」とは何か。僕がよく例に出すのは、ゲームの例です。


ほとんどのバランスのとれたのゲームであれば、主人公キャラはレベル1からスタートするわけですが、一番最初には戦闘の仕方や買い物の仕方を覚えるためのイベントがあったり、「初心者の館」「チュートリアル島」的な場所が準備されていたりする。そのようにしてプレイの仕方を覚えていき、スムーズに内容を楽しめるような設定がなされている。


あるいはトリセツや解説書などによって情報が適切に提供されていたり、身近なゲーム友だちに攻略法を尋ねたりといった形で共有されることも、ゲームのプレイヤーにとって重要な意味を持つ。そのようにして、ゲーム内に、あるいはゲームプレイヤーの環境の中に「チュートリアル機能」を埋め込むことによって、コミュニケーションへのコミットメントを促すという仕方は、ウェブ利用に対しても意義を見出すことが出来るんじゃないかと思っている。


『12歳からのインターネット』は、レベル1くらいのユーザーに対して向けられたトリセツであり、「可能なるネットリテラシー」を身に着けるための「初心者の館」です(ところどころ《はぐれメタル》です)。本来であれば、身近にちょっとネットに詳しい人がいればその人に聞けば済むようなことでもあるはずなのですが、しかし丁寧に教えてくれる「ちょっとネットに詳しい人」がいない人もたくさんおり、漠たる不安が広がっている現状もある。そういう状況であえて、「ネットの世界にようこそ!まずは、この本をどうぞ」と差し伸べられるような本に仕上がったのではないかと思います。手にとっていただければ幸いです。


#それから、7月にPHP新書から、学校裏サイト&ネットいじめ&ネット文化と学校文化その他に関する書籍がでます(タイトル考え中)。インタビューやデータから、淡々と既存の「学校裏サイト」言説の誤りを指摘しつつ、「学校裏サイト」という擬似問題ではなく「中間集団とネットの遭遇」によって生じる「ネットいじめ」の問題点について分析しています。


書籍化にあたり、先日内藤朝雄さんに草稿を目を通していただいて、対談をしていただき、かつ大学でのゼミでカンタンな発表までやらせていただきました。対談は近々ブログ(このブログか内藤朝雄ブログ)に掲載しますが、それだけでなくどこかの媒体に掲載してもらえないかと思ってます。3時間以上がっつり話したので、ボリューム的には複数の媒体に分けて掲載するのも面白そうだと思うんですが、媒体関係者のみなさまいかがでしょ。


(酔っ払って書いたら文章めちゃくちゃだな。サーセンw)