本日のメインディッシュ

「『男女共同参画』 法改廃狙い」
ちょっとした話題のまとめ系記事。記事にもあるように、歴史教育の次は性教育じゃい、ってことで、最近の保守派の方々は「じぇんだーふりー」「すぇーでん」「じょんまねー」「いきすぎたせーきょーいく」という言葉が大好き。最近は安倍晋三さんと八木秀次さんなどが、これらの使い慣れない言葉を愛用し、脳内理想国家を保守するため、懸命に啓蒙活動を行っております。



個々の論点に関しては今回は省略しますが、しかしまー、機会主義が目立つ。機会主義、平易に言い直せばご都合主義。例えば「専業主婦差別」には憤るが、韓国人や中国人差別は黙認・拡大再生産したりしているという共通点もちらほら。



さて、最近目立つのは、「過激な性教育」をしている奴をとりあえず全て「ジェンダーフリー論者のせい」として批判し、気に食わない男女共同参画局をぶっ潰しててしまえ、という機会主義。「世界日報」の運営しているサイトで、「全国で展開される過激な性教育 ジェンダーフリー教育の実態:自民党が公表した主な事例」が掲載されていますが、これまたすごい。



○幼稚園で男性性器や女性性器の絵を見せて、園児に部位の名称を先生の後に続けて言わせていたとのこと。(札幌市)
○中学生の校門で、PTAを名乗る父兄から、ピルを薦める小冊子とコンドームがセットで配られた。(北海道)
○中1〜中3。自治医科大の産婦人科による性教育。コンドームを付けるタイミングなど具体的な指導あり。性に対し面白おかしく話し「自分は経験ない」と言いながら肛門に挿入する話など話すので親は憤りを感じた。(宇都宮市) 
教育委員会が主催する子育て講座などで、頻繁に“人間と性”教育研究協議会の代表者(村瀬、高柳)が講演する。私もその講演を聞いたことがあるが、1年生からペニスやワギナという呼称を教え、4、5年でセックスを教えるという話だった。避妊方法や同性愛のことも話していた。数年前から、こうしたイベントがあるたびに「こうした性教育を広めるのは止めて欲しい」と教育委員会にクレームを言ってきたが、全く改善がみられない。(埼玉県戸田市
○小学校に、再三高学年が同じ教室で着替え(体育時)させるのをやめさせて欲しいと要望を出したが、完全無視。校長に直訴したが、不機嫌に拒否。6年生の学年主任の女教師は、男女一緒に着替えることを推奨した上、「自分も一緒に着替えることがある」と発言。やめて欲しいと言ったところ、異常なほどヒステリックに怒った。(埼玉県越谷市
○出産ビデオを観ていた。男女は好きであったら一緒になっていいとか。子供達は気持ち悪いと言ったがしっかり観るように言われた。(千葉市
○中3の保健体育の本に「体ほぐし運動」というのがあって男女の体をくっつけて寝る写真が載っている。背中を叩いたりほぐしたりはまだいいとしても体全身を男女がくっつけることが体ほぐしなのか。教科書はいい事も書かれているがコンドームを使えば大丈夫と勧めている内容、図入りは危険だと思う。(千葉県佐倉市
○小4の女児が1年の2月に健康教育と称した「性教育」があった。親の参観は自由で私は参観しなかったが養護教諭による「おちんちんの話」が題目。帰宅した子供が「お母さん知ってた? 女の子にもおちんちんがあるんだって。見ることも触ることもできるんだって。どこにあるんだろうね」と言って自分の性器を一生懸命引っ張ったりして見ようとしていたことに驚いた。(千葉市
○小4の時(4、5年前)、授業参観で性教育をやり、男女の裸を絵で見せ、性器の名称や性交を教えました。男子には女性の裸の絵を見せて「こういうのを見るといい気持ちになって射精する」とか「『ちん立ち』はだめ。『勃起』と言いなさい」と説明します。教師は生徒全員を椅子ごと後ろに向かせ、「お父さんお母さんに質問することはありませんか」。子供も親も当惑していた。(東京都町田市)
○学研の3、4年生の保健の教科書には、「おちんちんをいじっていたら白いものが出てきた。…」などという記述が(“人間と性”教育研究協議会を設立した)山本直英著作の本より引用されている。オナニーを学校で教えるのか?(東京都板橋区
○男女混合の組体操で男の上に女が乗ったり、男女交互に並んで体を倒す波(異性の股間に頭を倒します)をしていました。(東京都大田区
○小4の性教育の授業参観の後、帰宅してから息子が私に言うのです。「お父さん、お母さんもセックスしてるんでしょ」と。私は愕然として、ひと言も答えられませんでした。たぶんその前の年だったと思いますが、「ペニス」「ワギナ」等の言葉を、授業で全員で唱和させられたこともあります。(町田市)
静岡市の中学校に転任になった教師が、3年生にコンドームの使い方を教えることになったが、疑問だと苦悩していた。(静岡県
○小学4年生の男の子が学校で教わったあとお母さんに「僕の精子はどうしたらお母さんのお腹に入る事ができるの?」と質問してきた。(静岡県田方郡
○毎年中学生に性教育を担当している三島の産婦人科院長は子供達にピルを飲むと肌が綺麗になる、コンドームを使って性交するように指導している。(静岡県田方郡
○小学校はトイレも一緒です。高学年になると女の子は学校でトイレに行かず、我慢して家でしています。(静岡県
静岡県は100%男女混合名簿です。男の子も「〜さん」と呼んでいます。やめて欲しいと教育委員会に訴えていますが、一向に変わりません。(静岡県
○中学3年生に対してコンドームを試験管にかぶせての装着授業が行われ、受験を控えた子供が気持ち悪かったと帰ってきて母親に訴えた。(滋賀県大津市
○通っていた市立の幼稚園でペニスやヴァギナを教え、性行動を教え赤ちゃんができる様子を園児に教えていた事です。その後、親だけを集めてセックスを子供に見られたらどうするか等の課題を与えられ、班になって話し合い、皆の前で発表するという。(奈良県天理市
○現在大学生ですが、小学生か中学生の頃、試験管を男性器にみたてて、コンドームのつけかたを教わりました。(山口県下関市
○小学生か中学生の頃、モザイクなしの出産ビデオを見せられました。(山口県下関市)…さて、今のあなたは何歳? 「小学生か中学生の頃」ということは、3年以上前を想定しているのかな?
○子供を幼稚園に通わせていますが、身体検査、水泳の着替え等、同教室で裸になって着替えている状況に驚きました。子供たちは恥ずかしいと言いながらも抵抗できない状況でした。(愛媛県
○小学4年生の時に女性の生理について男女一緒に習った。下着に血液がついたものを見せられ嫌だった。(佐賀市
○平成12年、エイズ教育研究指定校において、犬の性交が描かれたイラストを使用して性交の授業が小学校1年生で行われた。(大分県佐伯市
○小学校1年の授業参観時に男女の紙の絵の切り抜きで1枚ずつ洋服を脱がせ最後の裸の絵になると性器がついていてその名前を先生が教えた。大事だからよく覚えなさいと言われた。(大分県
○子供が小4か小5の時に担任の先生が女性用生理用品に色の付いた水をつけて水分を吸収する実験を行った。(大分市
○男女混合騎馬戦があり、上に乗る方だったが下の男の子にからかわれイヤだった記憶がある。(鹿児島市
○中学校で看護助教授と言う女性講師が「あなたたちも精液をプレパラートにとって見てみなさい」とさらりと言ったのには驚いた。
○小学校の子供が5・6年の時、PTAで父母が参観する中で性教育が行われた。黒板に一メートル×一メートルくらいの大きさの紙に男性の性器が勃起している(そして先から精液を出している)大きな図をマジックで描き、男の先生が「この中で勃起した経験があるもの手を挙げなさい」と質問をしたところ、恥ずかしそうに三人くらいの男の子が手を挙げた。…先生は恥ずかしいことではないと説明していた。(大分市
広島市では小学生の時から性器の絵を見せたり名称を教えて「赤ちゃんはどこから生まれるか」を教えている。また自然分娩のビデオや腹部から赤ちゃんを取り出す帝王切開のフィルムが上映された。人工妊娠中絶に使用する「鉗子」を見せる学校もある。(広島市
川崎市立小学校5年生には学校を通じて「こんな子いるよね」という男女共同参画のパンフレットが配布されるが「専業主夫」「女の子が家事をするのはおかしい」「混合騎馬戦」などが登場する。また父兄懇談会の場で「参画法や条例ができたのになぜスカートを固定するのか」と校長を突き上げる一部フェミニストもいるのが実状だ。(川崎市
大分市では小学校1年生から自分を知るということで一人一人鏡を持たせて性器を見せる授業をしている。不審者が触る場所がどういう場所か知る為と言うが本当に必要なことか。「きんたまのはなし」という紙芝居を用いると指導案に記入がある。また親が中学1年生の授業を体験する地区研修会では思春期の性についての分科会があったが「結婚しなくてもいいんですよ。自由です。自分が生きるのだから自分で決めていい」との説明もあった。(大分市


これがジェンダーフリー教育の弊害の実例だそうです。あっはっは。「単にアホな事例」を「ジェンダーフリー」のせいにしたり、「たぶん」「〜思う」などの伝聞や推量が目立ったり、事例の紹介のはずがいつの間にか意見陳述にすり替わっていたり、男女共同参画基本法がまだ出来ていない頃の思い出話を批判の根拠にしたり、むしろフェミニズムが批判するであろう「セクハラ」事例が「ジェンダーフリー教育」のせいになっていたり。



笑ったのは「男女混合騎馬戦があり、上に乗る方だったが下の男の子にからかわれイヤだった記憶がある」といういじめ的な思い出話が、「過激な性教育の実例」として挙げられていること。物量で勝負するためとはいえ、「性教育の場面」とは関係ないものを混ぜるのはどうなのよと。なりふり構わないにもほどがある。それもこれも、男女共同参画基本法を撤回したいからその口実を探す、という順番になっているためでして。



さしあたり、参考資料としてどうぞ。各「事例」への応答(というか、突っ込み)など、誰か挑戦してみてください。








補足:エントリーでは「性教育」については直接触れませんでしたが、chikiは義務教育期間に授業で「役立つ性知識」を教わったという覚えがあまりなく(ゴムの付け方は高校で教わった気もしますが、高校生といえば「青少年の性行動調査」にあるように、多くの人が「経験済み」なのでして)、むしろ「性知識」を持っていることを教師に糾弾された記憶の方が個人的体験としてあるので、「性教育」がどれほど機能しているのか、そしてその必要性についてちょっとつかみかねています。「学校では教えてくれないこと」がローカルに伝達していくという信頼を前提にしているような部分の是非も、つかみかけています。有意義な議論があれば紹介願います。






ちなみに、「過激な性教育ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクト」のHPのURLが「ttp://www.jimin.jp/jimin/info/jender/」となっていて、ジェンダーgender)への無知を見事に露呈して失笑を買った、というのは有名な話。しばらくたって、流石に別の名前で作り直したみたいですが(ttp://www.jimin.jp/jimin/info/gender/)。